BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

大昭和怪人伝

大昭和怪人伝 (リュウコミックス)

大昭和怪人伝 (リュウコミックス)

 第二次世界大戦を舞台に、身体を機械化して戦場へと身を投じた男たちの激闘と苦悩を描いた架空戦記「ロボット残党兵」の続編。東京タワーの完成、東京オリンピック大阪万博と、目覚ましい復興を遂げていく戦後の日本。かつて戦場を駆け抜けた機械化人たちも、繁栄を謳歌する街の片隅でひっそりと日々を送っていた。森は屋台のおでん屋に、ハリマオはタクシー運転手に、そして主人公・三船は探偵に。そんな三船のもとに次々に舞い込む、奇妙な依頼の数々。

 一言でいうなら、昭和レトロな攻殻機動隊。「機械化痴呆」によってまだ戦時中だと思い込んでいる元諜報部員の機械化人による連続殺人なんかは特にそれっぽいです。東京タワーが巨大な目玉とアームがたくさんついた巨大な機械化人間になっているというのもこの作品らしいです。毎度毎度ほとんど有無を言わさぬかたちで依頼を引き受けさせられる三船は気の毒ですが、彼が戦時中に経験した壮絶な戦いを思えば、むしろ微笑ましく見えてしまいますね。

 三船たちの戦後を読めるとは思っていなかったので、嬉しい収穫でした。ロボット残党兵シリーズが今後も続くのかはわかりませんが、次に横尾氏がどんな作品を描いてくれるのかが楽しみです。