- 作者: 小原猛,三木静
- 出版社/メーカー: ボーダーインク
- 発売日: 2013/03
- メディア: 単行本
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琉球新報の小中学生新聞に連載された、沖縄にまつわる人々が体験した怪談実話集。
キジムナーをはじめとする妖怪やマジムン(沖縄の悪霊)の話も収録されていますが、やはり一番多く収録されているのは、太平洋戦争の沖縄戦で死んだ兵士や民間人の幽霊にまつわる話。もちろん怖い話が大半なのですが、中には「冷蔵庫を開けたら30cmぐらいの日本兵が体育座りでガタガタ震えていた」なんて話も。なにもそんなかたちで出てこなくても。
沖縄の地上戦で亡くなった人は日米両軍・民間人を合わせて一説には約20万人。そのほとんどが無残な死を遂げたであろうことを考えると、あと数年で終戦から70年という月日が流れてもいまだに彼らの幽霊が語られるのも無理もないように思えます。70年も浮かばれないまま沖縄の地をさまよい続けている彼らの魂を思うと、怖いというより哀しい気持ちになります。
一方で、収録されている話の多くにはユタ(沖縄の霊媒師)が登場し、禍を払ったり霊を成仏させたりします。先日読んだ遠野物語もそうですが、怪異や霊魂が生活の一部に溶け込んでいるというのは、怖いようでもあり、なんだかうらやましくも思えます。