BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

プロフェッショナル 仕事の流儀 藤子・F・不二雄

プロフェッショナル 仕事の流儀

 今までの人生に深い影響を与えた3人の漫画家の一人がF先生という人間としては、絶対に見逃せませんでした。(ちなみに残る2人は石ノ森章太郎先生と平野耕太先生。そしてF先生とヒラコー先生の代表作を何をとち狂ったか混ぜてしまった結果生まれたのが、今も私のサイトにある例のアレなのですが・・・)

  • 生前のF先生の規則正しい生活。秋本治先生や荒木飛呂彦先生もそうですけど、やはり規則正しい生活の大事さを実感します。そして、ネームの段階で既にそれとわかるスネ夫(笑)。
  • 同じドラえもんでも掲載誌ごとに対象年齢を考えて描き分けていたF先生。同じマンガを対象読者に合わせて描き分けるって、やはりすごいことなのでは。
  • 本やテレビで何度も見ていましたが、科学雑誌から落語のカセット、映画のビデオまで膨大な資料が集められたF先生の書斎は圧巻。「面白いものの断片を数多く持つ」ことが仕事の流儀として挙げられていましたが、大長編ドラえもんひとつとっても、宇宙旅行、恐竜、西部劇、アフリカのジャングル探検、魔法などなど、面白いものの断片どころかかたまりだらけなので非常に納得。
  • 日本の小学生ならば誰でも一度は欲しいと切実に願う道具、アンキパン。確かに道具自体にも憧れますけど、あの話ののび太に馬乗りになって無理やりパンを口の中に詰め込むドラえもんと、無理をして食べすぎたため腹を壊してもう一度食べなおす羽目になる秀逸なオチも最高に笑えるんですよね。
  • ソフトバンクや缶コーヒーのボスのCMを手掛けた人がドラえもんの愛読者とは知りませんでした。確かにしゃべる犬とか仕事を転々としながら地球の調査をする宇宙人とか、F先生っぽい日常の中の非日常ですね。
  • ミノタウロスの皿」は確かにゾッとしますね。F先生の大人向けSFは本当に怖い。「ミノタウロスの皿」と「カンビュセスの籤」はまだ読んでいない人はぜひ読むべき。
  • ドラえもん誕生」の一部再現ドラマ。さすがに「わしゃ破滅じゃー!」と叫びながら階段を駆け下りてきてポロンちゃんにつまづくところまでは再現されてないか。

 観終って思うのは、やはりF先生がお亡くなりになるのは早すぎたなぁというただ一点。F先生の早逝から早17年。さらに発展を遂げ、既にひみつ道具の一部が現実のものとして我々の前に現れるほどになったテクノロジーは、F先生が生きていたとしたらどれだけその想像力を刺激していたことか。きっとF先生は、どれだけ科学や技術が発展してもそれを上回る「あんなこといいな、できたらいいな」を我々に見せてくれたことでしょう。それを見られないことが、いまさらながらとても残念です。せめてF先生が遺したドラえもんの作品は、今後も愛され続けていってほしいものです。人生を生きていくうえで必要なことは、全てドラえもんに凝縮されていると言っても過言ではありません。