BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

小説 仮面ライダーフォーゼ 〜天・高・卒・業〜

 既にクウガ〜オーズまでが刊行されている講談社キャラクター文庫の小説仮面ライダーシリーズ、最新作となるフォーゼ編。プロデューサーである塚田英明氏の手による本作品では、本編ではTVでも劇場版でもついに描かれることのなかった、弦太郎たちの卒業式までの数日間が描かれます。TVシリーズ最終回後のお話なので、まだTVシリーズを見終わっていない方はご注意。また、フォーゼの劇場版三作品も深く関わってくるので、こちらも見ておいた方がよいでしょう。このように楽しむためには予備知識が必要ではありますが、その分フォーゼのファンであればあるほど楽しめる作品だと思います。悪の仮面ライダーや巨大ゾディアーツ、そしてフォーゼの新ステイツが登場するなど、まさにフォーゼ第四の劇場版。TVシリーズの5年後を描いた「MOVIE大戦アルティメイタム」にもしっかりつながります。

 卒業式まであと数日。しかし弦ちゃんはプロムで誰と踊るのか、そして卒業後どのような進路を進むのか未だ決め兼ね、悩み続ける日々を送っていた。そんな中、学園に新たなゾディアーツが出現。さらにその背後には彼らを操る謎の敵・仮面ライダーイカロスの存在が・・・。仮面ライダー部以外にも、TVシリーズに登場した個性的な生徒たちが多数登場。Wの風都の住民たちもそうですが、ほとんどが1話か2話ぐらいの出番しかなかったのに出てくると「ああ、こんな奴いたな」とすぐに思い出せるところがフォーゼのすごいところですね。そんな中でも、物語のカギを握る存在としてとある人物にスポットライトを当てたことが秀逸。見事に大団円を迎えたTVシリーズの中で、唯一その人とはちゃんとした物語としての決着がついていなかったので、この小説をもってようやくフォーゼという物語は真の意味での完結を迎えたように思えます。

 ただ、この小説で描かれる弦ちゃん、賢吾、ユウキの関係性の変化については、人によっては好き嫌いが分かれるかもしれません。私としてはこれはこれでアリとは思うのですが、一方でTVシリーズのようにこの3人については「友達」以上の関係にはなってほしくない・・・そんな思いもあって、なかなか複雑なところでした。

 まったくの余談ですが、なぜか作中には塚田Pの関わっていないキョウリュウジャーネタが2つばかり登場。そして冒頭にある登場人物紹介での賢吾の「ツンデレ」というのはまぁそのとおりでいいんですけど、ハルの「天然パーマ」と大杉先生の「独身」はそのとおりにしてもあんまりじゃないですか塚田P……。