BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

烈車戦隊トッキュウジャーVSキョウリュウジャー THE MOVIE 感想

 恒例・年に一度のスーパー戦隊夢の共演イベント、VS戦隊が今年もやってきました。宇宙からやってきた創造主デビウスに、トッキュウジャー、キョウリュウジャーの二大戦隊が立ち向かう!

 ノア夫人がまだ生きていて、明がドリルレッシャーを持ってトッキュウジャーと行動を共にしていることから、TV39話より前と推測される頃のお話。ゾーリ魔やカンブリ魔といったデーボス由来の敵に対してはトッキュウジャーの攻撃が効かず、逆にシャドーラインの怪人に対してはキョウリュウジャーの攻撃が効かない・・・というわけで、協力することになる二大戦隊。こういう設定は過去にもゴーゴーファイブVSギンガマンとかでありましたが、久しぶりですね。

 毎年恒例のVS戦隊での次の戦隊のお披露目ですが、今回はえらく早い段階での登場で驚きました。必殺技や能力に関してはそんなに驚くところはありませんでしたが、クライナーロボに対して使った技が「汚いなさすが忍者きたない」としか言いようがありませんでした。しかし、白とピンクの女性戦士はチェンジマン以来で個人的にはグッときますね。

 シャドーラインに協力を求めてきたデビウスの部下、サラマズ。声を演じるのはキャイ〜ンの天野君。牙狼で時空ホラー・ザジを二度に渡って演じた時から、どんどんこういう仕事をすればいいと思っていましたが、今回もちょっと聞いただけでは想像もつかないいい声の悪役演技でした。そのサラマズの要請に応え、ゼットが送り出したシャドー怪人・クロックシャドー。体操のお兄さん的な言動をするふざけた怪人ですが、その歌を聞いた者は子供になってしまうというジョジョ3部のアレッシー(セト神)のような恐るべき能力によって、子供になってしまうトッキュウジャーとウッチー(彼に至っては聞いていた時間が長かったので赤ちゃんにまで退行)。こんなすごい怪人がいるならもっと早くに出せよ・・・と思いました。シャドーラインは人事評価の基準が「どれだけ闇を生み出せるか」に偏っているので、他の組織では逸材となるであろう怪人も埋もれてしまうのが残念です。

 そうして子供になってしまったトッキュウジャーですが、これこそが今回の作品のキーとなるポイントに。本人たちも「これが俺たちの本当の姿だ」と言ったとおり、本来彼らはまだ子供なわけで、設定的にはそうなっているもののついつい忘れがちになるその事実を視覚的にも前面に押し出して描くのが本作のポイント。子供トッキュウジャーの戦闘シーンはそれだけでこの映画を見る価値あり。シャドーラインから一つずつ駅を守るという地道な戦いを続けてきたトッキュウジャーにとって、地球存亡の危機という今回の戦いはあまりにも大きすぎるもの。それでも、この戦いも自分たちの街を守ることにつながるという決意で戦いに向かうライトたちに、最初は彼らを「子供の遠足」と評していたキングも、ライトと協力しながらデビウスに立ち向かいます。トリン、シルバーたち4戦士、キャンデリララッキューロと、キョウリュウジャー側の主要人物も総登場。キョウリュウグリーンがフェザーエッジを召還するなど、細かいところまで手が行き届いていました(トリニティストライザーを使わなかったのは残念でしたが)。

 完全覚醒したデビウスとの最終決戦は、ある意味ではスーパー戦隊史に名を残すもの。ネロ男爵、あれをやりたかったのね・・・。ただしそのせいで、どうしてもデビウスが小物という印象に。デーボスを生み出した存在というから、ドラクエ3のバラモスに対するゾーマみたいなのを想像していたのですが、どっちかというとドラゴンボールの息子ともどもトランクスに瞬殺されたコルド大王ですね、あれは・・・。

 ラスボスのあっけなさを除けば、1時間弱の尺の中によくぞこれだけ詰め込んだというほかない、中身のぎっしり詰まった作品でした。しかし、これでキョウリュウジャーともしばらくの別れとなるのはさびしいですね。特にウッチーは今回の映画でも可愛さ炸裂だったので、余計にさびしいです。