BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

スーパーヒーロー大戦GP 仮面ライダー3号 感想

 ウルトラマン仮面ライダー牙狼と、特撮ヒーローの劇場版が同じ月に公開されるという奇跡のような月となった2015年4月。しかし私はと言えば、こんな時に限っていつも映画を見に行く土日に別のスケジュールが入るという間の悪い破目に。仕方がないので有給をとってライダーとウルトラを同じ日に消化してやろうということになりました。というわけで、まずはライダー映画の方の感想から。

 CMとかでも流れている通り、今回の映画は本来は存在しないはずの「仮面ライダー3号」によって1号、2号が倒されたことにより歴史が変わってしまい、ショッカーが支配するものとなってしまった世界をもとに戻すため、ドライブをはじめとする仮面ライダーたちが立ち向かう、というもの。例によってネタバレを含みますが、今回はキャラごとに見どころを取り上げることで感想を述べていきましょう。

◆泊進ノ介(仮面ライダードライブ)
 最初こそショッカーの歴史改変の影響を受けてショッカーに逆らう仮面ライダー狩りに加担しているものの、霧子や光太郎の言葉ですぐに本来の正義を取り戻して世界を元に戻すための戦いに挑むことに。しかし今回の映画では他にもいろいろなライダーが顔出しで出演しているため、主人公としての活躍はきっちりこなしているものの印象の強さとしてはそれ以上ではないような。

◆黒井響一郎(仮面ライダー3号)
 存在しないはずの仮面ライダー3号。1号2号を倒した男であり、今作のキーパーソン。両腰のエナージ・コンバータの形状や変身解除の際に一瞬顔に改造手術の傷跡が浮き出るなど、原作漫画のデザインや設定を細かく取り入れているのが心憎いです。最初は味方として登場し後に本性を現してドライブと対決、そして最後には正義に目覚め本物の仮面ライダーになるという、歴代の劇場版限定ライダーの中でも破格ともいえる待遇です。クライマックスで1号2号と共闘する「幻の三人ライダー」は必見。反面、楽しみにしていた元祖ライダー3号、V3との戦いは3号の圧勝に終わってしまい、もう少しV3に花を持たせてくれてもよかったんじゃないかと思いました。あと、演じるミッチーこと及川氏の演技はキャリアを積んでいるだけあってさすがでしたが、そもそも黒井のキャラクターと及川氏のイメージが私の中であまりかみ合わなかったのも残念なところでした。

◆桜井侑斗(仮面ライダーゼロノス
 中村優一さんが俳優業に復帰して最初に演じるのが侑斗というのはファンにとってはこれ以上嬉しいことはありませんね。今回のテーマが歴史改変ということで設定的にも物語に絡めやすいキャラなので、進ノ介や黒井と同じぐらい出番は多いです。ただ、楽しみにしていたデネブとの絡みが思っていたよりも少なかったのが残念。デネブのスーツアクターである押川さんが今回のデネブ役を最後に引退するので、完全な意味での侑斗とデネブのコンビを見られるのは今回が最後だったのに。

南光太郎仮面ライダーBLACK/BLACK RX)
 今なお絶大な人気を誇る太陽の子。倉田氏の顔出し出演はディケイド以来ですが、今回は歴史改変の影響で多くのライダーがショッカーライダーとなっている中で正義の心を失わず戦い続け、進ノ介に仮面ライダーの正義を説く重要な役どころ。ブラックに変身→高所から飛び降りるカットが当時そのままでリアルタイムで見ていた身としては感動モノでした。進ノ介と霧子を逃がすために倒された・・・かと思いきや、仮面ライダーグランプリの最中、「太陽がある限り、俺は何度でも甦る!」という問答無用で納得してしまう台詞と共に登場しRXに変身。なんとライドロンに登場し、いきなりレースに乱入してきた魔進チェイサーを叩きのめすという活躍で、「車に乗った仮面ライダー」の元祖としての面目躍如。トライドロンとライドロンの並走シーンは、まさに見てみたかった画でした。ライドロンのグランチャーにつかまって散々ぶん回され壁に叩きつけられたチェイサーにはご愁傷様というほかありません。その後、クライマックスのバトルではライダー大戦ではすっかりおなじみの顔ぶれであるジャーク将軍相手に伝家の宝刀リボルケインを披露。こちらも当時を完全再現でしたが、リボルケインをぶっ刺している時間が短かったのだけが唯一の不満です。

◆乾巧(仮面ライダーファイズ
 前作に引き続いて登場のたっくん。今回は半田さんが前よりも髪を伸ばしているので、イメージは放送当時のたっくんそのもの。出番こそ少ないものの、洞窟内での戦闘シーンでは相変わらずよく映える電飾スーツやマッハとの高速戦闘が印象に残ります。ライダーグランプリで救援に駆け付けた時の「子供たちの夢ぐらいは守りたい」という台詞が泣かせます。

◆橘朔也(仮面ライダーギャレン
 みんな大好き橘さん。物語の途中でカリスたちに襲われていたところを助けられますが、その後の展開は・・・まさにオンドゥル(以下略)。しかし、クライマックスではちゃんと正義に目覚め、ブレイド、カリス、レンゲルとともにバトルに参加。全員声は本人なんですから、ドラマCDと言わず新作OVか何か出してほしいんですが。

◆詩島剛(仮面ライダーマッハ)
 本編と同じく進ノ介を助けて活躍・・・するのですが、クライマックスでとんでもないことに。あれが4号へと続いていくんでしょうけれど、こういう商売の仕方はいかがなものかと。だいたいあの理屈でいったら、歴史が元に戻った後も課長や現さんは・・・。

ニンニンジャー
 特に何の説明もなく現れてライダーロボとのバトルに参加。あのままJに勝たせても別にいいじゃないか。ここ数年のライダー映画でのJの扱いが不憫すぎてなりません。

◆ショッカーの皆さん
 毎度おなじみ、あきらめの悪さではバルタン星人やヤプールに匹敵するショッカー首領。今は亡き納谷さんの声と激似な関智一さんの演技と詰めの甘さは相変わらず。そして高田総統ならぬブラック将軍。オーズの映画の時はどう見てのただのおじいちゃんでしたが、今回のブラック将軍はそれなりに強そうでした。そしてやっぱりの「出てこいやぁ!」。

 まぁ相変わらず粗を探せばきりがありませんが、スーパーヒーロー大戦シリーズとしては良作に入る方かと。黒井も二次創作でいろいろと膨らませそうなキャラですし。ただし、4号へと続けるあのやり方はさすがにどうかと。ディケイドの最終回の時よりちょっとはマシというレベルじゃないですか、あれ。