BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の手裏剣戦隊ニンニンジャー 第21話感想

 ライオンハオーを仲間にしたことで、ようやく弟子入りを認められたキンジ。しかし、九衛門もまた牙鬼幻月の妻である有明の方を復活。手始めに放たれた妖怪バクが、天晴と野球少年の夢を奪ってしまう・・・。

 個人的には、子供番組で「夢」を取り扱うことが難しい時代になったな、ということを改めて感じた回でした。バクに夢を食べられた天晴が一転して現実的にバイトを探したりし始めましたけど、それは天晴らしくないことは間違いないのですが、だからといって悪いことだとも間違っていることだとも言えないのですよね。現実として夢を持たずに働いているだけでそれで十分という人も、働いて生活を繋ぎとめるだけで精いっぱいで夢を持つなんてとてもとてもという人も世の中にはたくさんいるわけで。私としては夢を持つか持たないかは単なる価値観の問題であってそれによって善悪や上下が決まるようなことはあってはならないと思っているのですが、今回のニンニンジャーを見て子供たちが「夢を持たないことは悪いこと」とか「夢を持たないことはかっこ悪いこと」とか思ってしまわないか・・・穿った見方かもしれませんが、それが少し心配になってしまう回でした。かつて仮面ライダーファイズでは「夢というのは呪いと同じ」「それを叶える以外に解く方法はない」という名台詞があり、さらに自らは夢を持たない巧という青年を主役として素晴らしいドラマを見せてくれましたが、無批判に「夢を持つことは素晴らしいことだ」と語るだけではなく、夢を持つことによってそれに縛られてしまうこともあること、夢を見ても叶えられないこともある(叶えられる夢は「夢」ではなく「目標」であり、「夢」というのは叶えられないものである、と京極夏彦先生は著作の中で登場人物に語らせています)ということなど、夢の持つ負の側面についても見せてやることが、今こそヒーロー番組にも求められていると思うのですが。