BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり 第6話感想

 むかしむかし、あるところに三度の飯よりサーフィンが好きな陸軍の中佐がいました。あるとき中佐はサーフィンの格好のポイントを抑えるために、部下たちとUH-1に搭乗しベトコンの前線基地となっている村を攻撃しました。中佐は攻撃の際にワーグナーの「ワルキューレの騎行」を大音量でヘリから流しながら攻撃を加え、これはその後多くの映画やアニメで、戦闘ヘリが登場するシーンで踏襲されることになりました。

 ・・・とまぁ、そんな感じでやはりというかなんというか、やってくれましたね。原作通り、ご丁寧にヘルメットを尻に敷くところまで含めて。前回と今回の冒頭で賊軍の非道な行いを描いていたとはいえ、第2話と同じく敵の方が気の毒に思えてきます。賊軍がイタリカを襲撃したのは単なる略奪のほかにも、アルヌスの戦いでは得られなかった戦士らしく戦って死ぬ場所を得るためという理由もありましたが、またしても彼らに与えられたのは機械による無慈悲な蹂躙。機関銃や戦車、航空機、毒ガスなど機械文明の英知の結晶が戦争に本格的に投入され、大量殺戮の時代の幕開けを告げた第一次世界大戦について、かつてチャーチルは「戦場から騎士道精神が失われ、戦場は単なる大量殺戮の場と化した」と回顧しましたが、まさに今回はその言葉を象徴するような、「騎士の時代」と「機械の時代」、二つの時代の「戦争」の違いをまざまざと見せつけられました。

 そしてもう一つの見どころは、ロゥリィ無双。主である神に戦士の魂を捧げる女神、という意味では彼女の役回りはまさに北欧神話オーディンに仕えるワルキューレそのものであり、その意味でも今回のサブタイトルはふさわしいものでしたね。栗林も本領発揮。単一の白兵戦力としては作中で最初から最後まで最強であり続けるロゥリィと息を合わせて行動できるというだけで、彼女のメスゴリラ度合いがよくわかるというものです。銃剣、小銃、拳銃、手榴弾を使い分けて戦うことで、アニメでもそのへんの説得力をよく出していました。

 個人的にはもっと戦闘シーンを長く見たかったのですが、後半はすっぱりと戦後の後始末へ。賊軍を全滅させたにもかかわらずイタリカを占領どころか駐屯すらせず、交易の自由の承認以外は一切権益の要求はせず、捕虜の人道的取扱いだけを口うるさく求めてくるというのは、中世レベルの文明の人間にはそりゃあ理解しがたい行動でしょうね。一方、翼竜の鱗の売買に際して、貨幣の不足により支払いができない分を、相場の情報の調査に替えて商人に依頼するレレイ。それまでなかった「情報」という商品がこの世界に生まれたわけで、個人的には戦争よりもこういう方面の方に興味がありますね。