BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

アントマン 感想

 「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」の記憶も新しいマーベルヒーロー映画ですが、久々に自らの名をタイトルに背負った新たなヒーローが登場。その名は、アントマン

 刑期を終えて刑務所を出所した軽犯罪者のスコット・ラング。犯罪からは足を洗って新たな生活を踏み出そうとするも、刑務所にいたことがばれて勤め先をクビになり、別れた妻と暮らしている娘の養育費も払えず、やむを得ず養育費のために刑務所時代の仲間の誘いに乗ってとある富豪の家に盗みに入ることに。ところが、その金庫の中に隠されていたのは一着の奇妙なスーツだけ。持ち帰ったスコットがそれを着て手のボタンを押すと、彼は一瞬にして1.5cmにまで縮小! 実は彼が盗みに入ることはその富豪、天才科学者のピム博士が最初から仕組んでいたテストだった。かつて、原子間の距離を縮小して物体を縮小することのできる「ピム粒子」を発見したピム博士。それを悪用しようとしている彼の弟子・ダレンの計画を止めるため、ピムはスコットに「アントマン」となって協力することを依頼する・・・。

 一連のアベンジャーズ作品のヒーローたちはもともと天才科学者だったり崇高な正義の心の持ち主だったり、神様だったりしたわけですが、スコットは高度なセキュリティを破り施設に侵入する天才的な技術を持っているとはいえ、もともとは一般市民であり犯罪者だったというのが面白い。とはいえ、決して彼は悪人ではなく、そもそも刑務所に入ったのも会社の不正を暴くためにセキュリティ破りをしたというだけあり、根っこは正しい心の持ち主。加えて、幼い娘を誰よりも愛していて、父親としての立場からすれ違いの関係にあるピム博士と彼の娘のホープの関係を修復を手伝う場面も。こういう家族のために頑張るオッサンのヒーローって、自分でも書いているだけあって私、本当に弱いんですよねぇ。

 様々な能力を持つマーベルヒーローですが、アントマンの能力はなんといっても人間の大きさから1.5cmへの縮小、あるいはその逆を一瞬にしてやってのけること。スコット自身のスニーキング能力もあって、厳重な警備の施設への侵入も見事にやってのけます。1.5cmの大きさでも重量はともかく質量は変わらないらしく、この状態で殴られればほとんど透明人間に殴られるようなもの。さらに、種類の異なる様々なアリを使役可能。羽アリに乗って空を飛んだり、筏を組んだアリの群れに乗って流れる水を下ったり、噛むと激痛を与えるアリに攻撃させたり、アントマンをサポートするアリたちはまさに小さな軍隊。アイアンマンのような強大な破壊力を持つ武器こそ持たないものの、その能力の応用範囲の広さと威力はすさまじいもの。ピム博士が悪用されるのを恐れていたのも納得できます。

 そして、自らもアントマンスーツと同じ能力を持ち、さらにレーザーまで発射できるスーツ、イエロージャケットを装着したダレンとの決戦。縮小・拡大を繰り返しながら展開されるバトルは確かに今までに見たことのないもの。特におもちゃの機関車トーマスの上で繰り広げられるバトルはコミカルかつダイナミックで必見です。

 マーベル映画のお約束通り、アントマンの物語もこの映画だけでは終わりません。ホープとの関係を修復したピム博士は、決意とともにあるものを彼女に託すことに。一方、ひょんなことでアントマンと遭遇したファルコンは、彼と接触をとろうとしています。ピム博士はピム粒子の悪用を恐れてS.H.I.E.L.Dを抜けた人なので、このままアントマンがすんなりアベンジャーズの仲間入りをするとは思えないのですが。そしてラストでは、キャプテン・アメリカも登場。なにやら不穏な空気が漂っており、ファルコンはそのためにアントマンの力を頼りにしようとしているようですが・・・。アントマンはいろいろな意味でこれまでのマーベル映画のヒーローたちとは一線を画すキャラなので、何が何でもアベンジャーズと組ませなければならないというわけでもないと思うんですけどね。いずれにせよ、超人だらけの世界の中でヒーローとなった一般人がこの先どんな活躍を見せていくのか、楽しみになりました。