BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

牙狼 -紅蓮ノ月- 第六話感想

 病に侵された母親と赤ん坊の妹を助けるために盗みを働く少年と出会った雷吼たち。一方、道満はかつて都で暴威を振るい時の帝に遷都を余儀なくさせたという巨大ホラー・以津真伝の封印を解き・・・。

 前回は身分の差ゆえに結ばれることのなかった男女の悲しい恋の話でしたが、今回もまた貧しさゆえに疫病に苦しむ人々が登場する、華やかな宮廷文化の裏側にあるこの時代の暗部を描く話。貴族たちは疫病にかかった人たちを羅城門に捨てていましたが、あれの行きつく先が芥川龍之介の「羅生門」で描かれた荒廃した世界なんですよね。しかし、道満の闇への誘惑をはねのけ、子供たちの幸せを願いながら人として安らかに死んでいった母親が死後も子供たちを優しく見守っているというラストは、前回に比べれば救いのある終わり方でホッとしました。以津真伝は現実の史料にもその名が登場する、鵺と並ぶ平安時代の有名妖怪。普通は会長として描かれるのですが、今回はどちらかといえば竜に近い姿。帝が遷都しなければならなかったとか、当時の法師たちが総がかりでようやく封じることができたとかいうからさぞかし強いのだろうと思いましたが、結局は雷吼に一発で真っ二つにされてしまい、ちょっと拍子抜けでした。