BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

牙狼 魔戒烈伝 第3話感想

 今回は前半と後半で別々の物語となる2本立て。30分枠の特撮番組で2本立てというのは、知る限りでは前代未聞の試みですね。

 前半は「無頼漢」。高い岩山の上に建つ、荒くれ者たちが集う酒場。実はそこはホラーたちの砦であり、人間の姿をしたホラーたちが酒や博打に興じていたが、そこへ一匹のホラーが命からがら逃げこんでくる。別の砦にいたそのホラーは、砦にいたホラーたちがたった一人の魔戒騎士によって全滅したことを知らせに来たのだが・・・。
 なんとなく西部劇を思わせる、これまでのシリーズにはなかった雰囲気の異色作。特に妙に人間くさいやりとりをするホラーたちが、基本的にはシリアスな怪奇ドラマである牙狼らしからぬ笑いを醸し出していました。なかなか主役が登場しない中、満を持して登場したのは「MAKAISENKI」に登場した歴戦の戦士である雷鳴騎士バロンこと四十万ワタル。敵はただの素体ホラーばかりなのでワタルも全然本気は出しておらず、戦闘シーンまで気の抜けた感じのものに。バーテンに無茶ぶりをした挙句、結局斬り捨てるのは当然の結果ながら笑いました。ご丁寧にオチまでつけて、徹頭徹尾ギャグ回でした。

 後半は「処方箋」。主役は「魔戒ノ花」のヒロインであるマユリと、第10話に登場した元魔戒法師でゴンザの旧友であるアンナ。ゴンザの使いでアンナの店にやってきたマユリが持ち込んだのは、額に入った一枚の古い絵。そこには一匹の魔界竜の稚魚が封じ込められており、その魔界竜の稚魚に元気を取り戻させることをマユリはアンナに依頼する。
 15分足らずのドラマのために松坂慶子氏を起用するとはなんとも豪勢な。絵の中の魔界竜の稚魚は、「RED REQUIEM」で烈花から鋼牙に贈られ、「MAKAISENKI」では鋼牙を手助けし、「蒼哭ノ魔竜」では特に大きな役割を果たしたことでファンにはおなじみの「カオル」ですね。いずれ父を助けたように、カオルが雷牙を手助けする日がくるのでしょうね。こちらも異色作ではありますが、前半とは打って変わってマユリとアンナの穏やかな交流の時間をしっとりと描いた作品。アンナに抱きしめられた時のマユリの反応が印象的でした。