BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

劇場版 牙狼 DIVINE FRAME 感想

 「牙狼 炎の刻印」の劇場版である「DIVINE FRAME」を見てまいりました。ネタバレを含む感想となりますので、未見の方はご注意を。

 TVシリーズ「炎の刻印」での戦いから四年。ヴァリアンテ王国はアルフォンソの指揮の下で立派に復興を遂げていた。レオンは腹違いの弟でありヘルマンの忘れ形見であるロベルトをゾロの鎧の継承者に育て上げるべく指導を行っていたが、隣国バゼリアに現れた使徒ホラーの討滅と、奪われたメンドーサの遺産である「ツィンケルの輪」の破壊を命じられる。時を同じくして何者かにロベルトがさらわれる事件が起き、犯人を追跡したレオンは危ういところを黒曜騎士ゼムの称号を持つ魔戒騎士・ダリオに助けられるが・・・。

 TVシリーズから四年が経っているという設定だけあり、レオンはより黄金騎士としての風格がついていますね。レオンもアルフォンソも魔導馬を召還できるようになっていることから、既に100体以上のホラーを討滅していることがうかがえます。ただ「炎の刻印」ではゾロもゼクスも魔導馬を召還していましたし、今回初登場となるゼムもそれは同じなので、もしかすると魔導馬を召還できる魔戒騎士はこの世界ではそう珍しくないものなのかもしれません。

 死んだはずのヘルマンがどうやって復活するのかが気になっていたのですが、そのへんは割とあっさりすませましたね。そのために珍しくガルムが体を張っていましたが、「炎の刻印」でろくなことをしなかった分、そのぐらいはしてもらわなくては。復活して早々にいつも通りに街でナンパをしていたところをレオンに見つかりぶん殴られるヘルマン。何ともしまらない親子の再会シーンですが、この親子はこれが平常のやりとりだったのでむしろ安心してしまいますね。このように生前のノリのままのヘルマンですが、生前は出会うことができなかったもう一人の息子を救うために、最期までかっこいいところを見せてくれました。

 総合的に評価するならば、つまらないというわけではないのですが、特に面白いというというわけでもないですね。今回の黒幕であるダリオのキャラクターは、一人の愛する女性を救うために道を踏み外した魔戒騎士という点においては「魔戒ノ花」の毒島エイジと変わらず、あまり新鮮味はありませんでした。ツィンケルの輪を起動するためのキーはなぜロベルトでなければならなかったのかという理由については最後まで説明がありませんでしたし、そもそもこれほど大がかりな計画を法師の力も借りずにほぼダリオ一人で準備したというのはさすがに無理があります。ただ物語のテーマについては「守りし者」としての心構えや死してなお受け継がれていく意志など、全ての牙狼シリーズに共通するテーマに徹頭徹尾忠実に作られていました。「堅実」という言葉が印象としてぴったりとくる映画ですね。