BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週のウルトラマンジード 第17話感想

 ついに現れたベリアルとの戦いの末、その体内に取り込まれてしまったジード。その支配からいかにして抜け出すかという、おそらくはこの物語で最も重要な部分となる話でしたね。これまで幾度となく地球とウルトラマンたちの危機を救ってくれたウルトラマンキングですが、ジードにおける役割はこれまで以上に大きいですね。難産で命が危険だったライハを助けていたというのは、さすがにえこひいきが過ぎるんじゃないかと首を傾げましたが。

 キングの助けでリクの心に語り掛けるライハ。ジードを「みんなのヒーロー」と呼ぶライハの声によってリクが呼び起されたのは、幼い頃、泣いていたところをヒーローショーのドンシャインに励まされた記憶。この時のドンシャインの「中の人」、ヒーローショーの観客ではなく、その輪の外で泣いていた男の子に気づき、真っ先にその子の元に駆けつけて励ましたのですから、本物に負けないぐらいのヒーローらしい精神に溢れる人だったのでしょう。彼は本物のドンシャインではないし、TVのドンシャインを演じている「中の人」でもない、おそらくはバイトの人でしょう。その意味においては「偽物のヒーロー」である彼が、一人の少年の心に希望の火を灯し、成長したその少年が今度は「本物のヒーロー」になろうと戦っている。偽物のヒーローが本物のヒーローを生んだ、というより、ヒーローであることに本物も偽物もない。ただ泣いている子供に泣かなくてもいいんだと声をかけてあげるような小さなことであろうと、それができれば人は誰でも誰かにとってのヒーローになれるんだ、と訴えかけるようなこの演出には、心を揺さぶられました。ウルトラマンたちがテレビの中だけではなく、実際にウルトラマンフェスを初め大小のショーでたくさんの子供たちと触れ合っており、本当にリクのようにヒーローとの出会いによって変わることができた子どもたちが必ずいるということを思うと、より感慨深い気持ちになりますね。

 自分を取り戻し、ベリアルの体内から脱出することに成功したジード。戦いの場を地球に移しながら、プリミティブ、ソリッドバーニング、アクロスマッシャー、そしてマグニフィセントと姿を変え、人々の声援を受けながらキメラベロスと戦うジード。そしてライハのリトルスターがジードに届き、キングとベリアルのカプセルを使って新たな姿・ロイヤルメガマスターへ。この姿を見た時のベリアルの「認められたというのか、キングに!」という叫びが、かつて自らを否定し牢獄に閉じ込めたキングが自分の息子を認めて力を託したという、いわば「息子が自分を乗り越えた」事実への驚愕や怒りなどがないまぜになった感情を現していましたね。キングの力だけでなく、ウルトラ六兄弟を召還してバリアを張りキメラベロスの攻撃を防いだのには驚きました。豪華を通り越して無駄遣いとも言える使い方でしたが。ロイヤルメガマスターの圧倒的な力の前に爆発して果てたベリアルですが、これで終わるような往生際のいい奴ではないことはこれまでを見れば疑いの余地がありませんね。ウルトラ六兄弟のカプセルとは別に、ジャック、エース、タロウの個別のカプセルも入手しましたが、これからちゃんと使われるんでしょうか。そして、ベリアルが倒されたことでこちらもその体内から解放されたらしいケイの動向は・・・。