BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンZ 第1話感想

 コロナのせいでいまだにタイガの劇場版が公開されていない状況ですが、その間にも早くも新たなウルトラマンの物語がスタート。その名はZ、ゼロの弟子!

 

 物語が始まって早々映し出されるのは、ビル街を闊歩するゴメスから逃げ回る人々の姿。そしてそこに立ちふさがる、地球防衛軍日本支部の対怪獣ロボット部隊ストレイジ保有する特空機1号、セブンガー。もうこの冒頭だけで、既に世界観が確立されていますね。物語が始まった当初から怪獣が、さらにはそれに対抗する防衛チームが存在するというのはニュージェネではかえって珍しい設定ですが、それに加えてストレイジのロボット兵器として最初に登場するのがまさかのセブンガー。レオでたった一話だけ登場したこのマイナーなロボットが、よもや令和の世に復活し新番組の冒頭を飾るとは、誰が予想できたことか。これまでのニュージェネでの登場と違って、ゴメスがウルトラQの個体と同様に10m程度の小柄な怪獣として登場しているため、そのスケール感の差もあってインパクトは絶大でしたね。

 

 一方、宇宙では逃走する凶暴宇宙鮫ゲネガーグと、それを追跡するゼロとゼットの姿が。戦闘の最中、ゲネガーグが吐き出したブルトンが発生させた異空間に吸い込まれてしまうゼロ。まさかこんなかたちであっさりとゼロが退場することになるとは思ってもみませんでしたが、今回はジードの時と違ってゼロブレスレットも壊れてないでしょうし、そのうち帰ってくるでしょう。ゼットは単身ゲネガーグの追跡を続行し、地球に降下して戦闘に突入。偶然セブンガーに搭乗して瓦礫の撤去作業中だった主人公ハルキは、突然の事態に驚きながらも即座にゼットとの共闘を開始。これまたセブンガーにとっては初となる、ウルトラマンとの共闘です。どれだけ優遇されてるんでしょうか。しかし、第1話の怪獣としては珍しいぐらいゲネガーグは強く、あわやゼットとハルキは敗北寸前に。

 

 ゲネガーグの攻撃で命を落としたハルキ。その目の前に、ウルトラマンゼットが現れる…完全に「ウルトラマン」第1話のウルトラマンとハヤタの会話シーンのパロディですが、ハルキばかりかゼットの方もこのままじゃ命がヤバいという危機的な状況とは裏腹に、ゼットの言葉遣いがおかしいうえに「ウルトラヤバい」とか言うのでなんとも間抜けな光景が展開されることに。まさかウルトラシリーズが始まって60年以上経ってから、慣れない地球の言葉に四苦八苦するウルトラマンを見ることになろうとは。それでもどうにか通例通り一心同体になることが決まり、早速変身アイテム、ゼットライザーの使い方をハルキにレクチャーするゼット。ここでも相変わらず言葉遣いがおかしいうえに、最近の変身アイテムに輪をかけて段取りが多い多い。タイガの変身がシンプルだったので余計にそう感じます。さっき第一作のパロディをやっただけに、ボタンを押せば変身できるベーターカプセルとの差も感じますね。

 

 どうにかこうにか、セブンとレオとゼロの力を宿す形態、アルファエッジへと変身して再度ゲネガーグの前に立ちはだかるゼット。アルファエッジの見た目はセブン親子の要素が強いですが、戦い方はレオの要素が強いですね。特にゼロスラッガーのような形のエネルギーの刃をヌンチャクのように振り回すのは、セブン親子とレオの力の合体の象徴のように見えます。そして、見事ゲネガーグを撃破。ゲネガーグは最初の怪獣としては珍しい体型でしたが、拳法を使うスタイルは直立した怪獣や宇宙人との戦闘でより映えると思いますので、早く見てみたいところですね。

 

 戦いが終わり、ゲネガーグが飲み込んでいたウルトラメダルの回収をハルキに頼むゼット。ゼットとゼロがゲネガーグを追っていたのもそれが理由のようですが、その姿を人知れず見る何者かの手には、ティガとダイナとガイアのメダルが…。あからさまに怪しいのはやっぱりヘビクラ隊長ですが、わざわざジャグジャグさんを演じた青柳氏を起用したのは本当に怪しい人なのか、あるいはそう見せかけるためのミスリードなのか、現段階ではさすがに読めませんね。一方、ゲネガーグの死体回収に当たっている最中に寄生生物セレブロに寄生されてしまった青年、カブラギの今後の動向も気になるところです。

 

 密度の濃い第1話でしたが、おかげで満足度も今後の期待値も高いですね。タイガが地球人と宇宙人の共存という大きすぎるテーマを掲げたうえ、あの不愉快でしかないトレギアのせいで全体的にどうにも沈みがちな雰囲気だったのを反省してか、「ウルトラマン」第一話のパロディも含めウルトラマンらしいド定番の設定に加え、昭和二期ウルトラシリーズのようなおおらかさも感じられる、タロウの次回予告の「みんなで見よう!」という決め台詞に象徴されるような、娯楽作品らしいウルトラマンへの回帰を感じました。もちろんニュージェネらしい謎も早くもちりばめられていますが、いずれにせよ、いつもどおり最終回まで見守っていきたいと思います。