BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーゼロワン 42話 感想

 ゼロワンも残すところあと4話。いよいよ物語も風呂敷を畳む段に入ったと、前回を見てからこちらも気持ちは整えていたはずなのですが…いやはや、とんでもない展開をぶつけてきたものです。考えられる限り最もえげつないものを見せられる、エグゼイドの時に何度も見せられたのと同じ感覚を、久しぶりに味わった気がしました。ただまぁ、今回はどこかに埋まっていることはわかっていたはずの地雷を今頃になって見事に踏んでしまったというか…。考えてみれば、或人ほどヒロインにべったりな主役ライダーって、他には天道か晴人ぐらいなものですよね。しかも或人の場合、心の距離で最も彼に近づいた存在が其雄とイズ、どちらも人間ではなくヒューマギアで、彼ら2人と同じぐらい或人の心に迫った人間はいまだ一人もいないというのが、いまさらながらに或人の歪さを感じます。こうなってしまうと、戦兎にとっての万丈、ソウゴにとってのゲイツのような、「お前が道を誤ったときはぶん殴ってでも俺が引き戻す」という関係性を築いた2号ライダーの存在がいかに頼もしかったかを痛感しますが、不破はそこまでの関係性にはないからなぁ…。エグゼイドもそうでしたけど、高橋脚本の登場人物はそういうわかりやすい絆よりも、使命感とかもっとドライな関係性でつながっている感じがして、人間同士の関係性に熱量を持たせるのがあんまり好きではないのかな…と思ってしまうのですが。

 

 もう一つ思ったのは、結局この作品は人間と人工知能が共存する最大の障壁を、「人間の悪意」一本に絞ったのだな、ということでした。もちろんそれはそれで克服しなければならない問題ではありますが、たとえばヒューマギアに人権を認めるべきかとか、ヒューマギアによって労働の場を奪われる人間をどう保障するかとか、そもそも人工知能が意思を持つこと自体の是非とか、人間の悪意とは別に解決しなければならない問題はいくつもあるし、そういった問題はライダー同士の戦いで答えが出るものではないでしょう。もちろん、ロボットあるいは人工知能の誕生以来ずっと議論が行われているこれらの問題全てに対して、この作品が見事に解答を示してくれるなどとは最初から思ってはいませんが、このままでは作品の根本的なテーマに対しても満足のいく答えは提示されないのではないかと、危惧を募らせています。