BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンZ 第11話感想

 ついに改修を完了し、特空機3号機として生まれ変わったキングジョーストレイジカスタム。その華々しい初陣を描く回…だと誰もが信じて疑わなかったところに、予想外の方向からパンチを食らわされた、という感じの回でした。まぁ人命を守るために怪獣を殺さなければならないという状況自体は、人里にオオカミが現れたらそのオオカミに子供がいようが殺さなければならないというのと同じ、別々の生き物が同じ場所で生きていくことで否応なしに発生してしまう命の奪い合い、要は生存競争なので、これを否定しちゃうと自然の営み自体を否定してしまうことになります。獣はそこに対して何の感情も抱きませんが人には心があるので、心ならずも生きるために奪わなければならなかった命に対して罪悪感を覚えるのですが、それに対しては科特隊が怪獣供養を行ったように、奪った命を悼み、弔い、冥福を祈ることで折り合いをつければよいのです。ただ、それが今回のハルキのように個人的な体験と結びついてしまうと始末が悪い。ここまでずっと、シリーズの原点に還ったようにウルトラマンと防衛チームと怪獣の戦いを娯楽劇として描いてきたうえで、このタイミングで「ウルトラマンってそんなに単純に楽しい話ばかりじゃないよね?」という、これまたシリーズの原点に還ったと言えるビターな要素をぶち込んでくるというのは、最高のタイミングでがら空きの顎にアッパーを食らったような心境です。間違いなくウルトラマンにはこういう話が必要なのであり、こういう話がウルトラマンを単なる怪獣プロレス番組を超えた物語へと押し上げるのです。それは重々わかってはいるのですが、「何も今やることじゃないだろ…」というのも偽らざる心境です。今回は完全に、キングジョーストレイジカスタムの活躍を見たいという感情でTVに向き合っていたので…。

 

 一方で、いち早く事情を察して「ありゃあもたねぇな」と呟いたり、レッドキングを逃がしたところでまた人間を襲う可能性があることを指摘したり、今回のジャグラーは「らしさ」が垣間見えましたね。「ありゃあもたねぇな」と呟いた時の彼の脳裏には、ナターシャの一件で本来の姿に変身する力を失ったガイの姿が間違いなくあったでしょう。かつてのガイに対してしたようにそれを嘲笑うようなことをハルキにするつもりはないのでしょうけれど、その代わり立ち直るために手を貸すようなこともしないんでしょう。ウルトラマンに選ばれた者ならば、自分の力で立ちあがってみせろ。ウルトラマンに選ばれなかった者として、そういう心づもりなのでしょう。レッドキングの危険性をあえて指摘したのも、ウルトラマンの理想主義的な思想に対しては一線を画し、あくまで現実的に問題の解決に当たる彼の性格を伺わせます。その性格のためにウルトラマンに選ばれなかったわけですが、もはやそうした自身の性格ややり方に対して矜持すら感じさせます。リクに対して「正義に目覚めた」と言ったのも冗談ではなく、「自分なりの」正義に目覚めたという意味だったのかもしれません。