BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンZ 第14話感想

 グルジオライデン撃破の祝勝会を開き大いに盛り上がるストレイジの面々。しかしその中にあっても、いまだハルキの心は晴れない。そんな時、カブラギによって四次元怪獣ブルトンストレイジ基地のすぐそばに出現。時間も空間も繋がりが滅茶苦茶になり基地内が大混乱に陥る中、ハルキは思いもかけない人物と再会することになる…。

 

 1話でゼロを四次元空間に飛ばして出番は終わりかと思いきや、まさかのブルトン再登場。初期ウルトラ怪獣の客演の多いこの番組とはいえ、まさか令和の世にブルトンがちゃんと着ぐるみで登場することになるとは思いませんでした。赤と青の隕石が合体し、防衛チームの基地のすぐそばに登場するというシチュエーションは初登場した「無限へのパスポート」と同じシチュエーション。引き起こされる不可思議な現象の描写については、戦車が空を飛んだり戦闘機が地面を走らされたりする旧作の方がシュールさは上ですが、ビルが浮き上がって落下したり、ビルの中からの視点で重力の向きが変わる異常をとらえるカットは新しい試みでしたね。

 

 そんなブルトンが生み出す四次元空間ですが、今回はそこに「巻き込まれた人間の深層心理の影響を受けて時間や空間のつながりが変化する」という新たな設定が加わりました。最初は単にこの空間の不可解さを補強するためだけの設定かと思っていましたが…まさか、時空を超えてハルキを父と再会させるためにこの設定が活かされるとは。その巧みさに、今までこの番組を見てきた中で一番「やられた」と思いました。振り返ってみれば、回想でのハルキと父のキャッチボールで、ボールを取って戻ってくるまでに妙に時間があったり、戻ってきた父がいきなりハルキに握手を求めてきたり、妙なところはあったんですよね。まさかそれが伏線だったとは…。それにハルキの父は最後の別れとなったときに「また会える」と言っていたんですよね。これもまた、既に未来のハルキに会っていたからこその言葉だったとは…。予期せぬ邂逅に驚きながらも、あれからずっと迷い続けていた問いを父にぶつけるハルキ。それに対する父の答えは、自分の届く手の範囲は限られているけれど、それでも自分の手が届く範囲で守りたい人を全力で守る。その結果として他の誰かを守れなかったとしても、その時はそれを絶対に忘れない」というものでした。結論としては結局そう考えるしかないというところなのですが、やはりそれを父の口から聞けたからこそ、ハルキも心にかかっていた靄を晴らすことができたのでしょうね。そして、ネットでも書かれていましたが、これって奇しくも、ゼットと同じく3枚のメダルを使って戦った仮面ライダーとよく似ているんですよね…。

 

 空間を操作する能力を駆使する前に、さしものキングジョーも攻撃が通用せず大苦戦。そこに迷いを振り切ってハルキが変身したゼットが登場し、ガンマフューチャーでブルトンと超能力技の応酬を展開。しかしやはりこの分野ではブルトンの方が一枚上手なのか、ゼットの首から下を地中に埋め込んで轢き逃げアタックを繰り返すブルトン。それに対して、物理には物理で対抗とばかりにベータスマッシュに変身し格闘戦を挑むゼット。ブルトンの穴から出てくるアンテナみたいなのを引っこ抜いた時、明らかに「とったどー!」と叫んでましたね。そしてゼットランスアローをブルトンに突き刺しぶん回して放り投げたところを、アルファエッジのM78流竜巻閃光斬でトドメ。ゼット、というよりハルキの復活を飾るにふさわしいナイスファイトでした。

 

 そして、ストレイジ基地に平和が戻り、ハルキの悩みも解けて一件落着…かと思いきや、空に響き渡る狂った笑い声のような鳴き声。その声の主はまぎれもなく…!