BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンZ 第19話感想

 宇宙から飛来したベムスターを迎撃するハルキとヨウコ。しかし、突如空に大きなヒビが入り、ベムスターは何かに怯えるように飛び去ってしまう。やがて、ヒビが割れて出現した異次元空間から殺し屋超獣バラバが出現。ヤプールの怨念が宿ったようなバラバの猛攻の前に絶体絶命の危機に陥るゼットだったが、その時、その窮地を救うためあの男がやってきた…!

 

 超獣出現。しかもメビウス以降見慣れたドラゴリーでもアリブンタでもなく、まさかのバラバ。エースキラーの前座とかタイラントのパーツとか、そんな扱いを受けていたのがまさかここで脚光を浴びるとは。ギルバリスやグリーザに続く異世界からの招かざる客の襲来に、ジャグジャグさんもあからさまに不機嫌そうな顔をしていましたが。今回のバラバは単なる超獣ではなく、バラバにヤプールの怨念がとり憑いたか、あるいはヤプールの怨念がバラバの姿をとって現れた、といったもののようでしたね。そのせいか、かつての初登場時とは攻撃力もしぶとさも比較にならないほどパワーアップ。ベロクロンやバキシムのようなミサイルも発射していましたし、他の超獣のデータも取り込まれていたのかもしれません。おまけに、次元の裂け目を生み出して敵の攻撃を吸いこみ、そのままエネルギー波で反撃する器用なカウンター技まで習得。空を割るのはもともとバキシムだけだったはずですが、いつのまにやら超獣みんなができる芸当になってますね。

 

 デルタライズクローをも圧倒し変身解除に追い込み、ゼットを絶体絶命の危機に追い込むバラバ。しかしそこへ、エースメダルの反応に導かれ、超獣退治の専門家、ウルトラマンエースが救援に登場! ウルトラ6兄弟でも屈指の光線技の名手としての力を遺憾なく発揮し、光線技を次々と繰り出すエース。対するバラバもゼットとエースを向こうに回して一歩も引かない異常なタフネスを発揮。「超獣には感情も痛覚も存在しない」と、とにかく攻撃の手を緩めることなく攻め続けることをゼットに助言しながら戦うエース。単に激しいバトルというだけでなく、超獣とはそこまでしなければ倒すことのできない強敵だということがよくわかります。かつてのエースと超獣との戦いは、切断技で首や腕を切断してからダメ押しでメタリウム光線を食らわせて爆破するようなオーバーキルにも見えるものがよく見られましたが、あれも並みの怪獣とは比べ物にならない超獣を確実に倒すためには必要なことだったんですね。そして、ついに激闘を制する決め手となったのは、エースとゼットの合体技、スペースゼット。そう、まさかのゼット版スペースQです。エースキラーを倒した技でフィニッシュとは、どこまでも心憎い演出です。「ヤプール死すとも超獣死なず」と叫んで爆散するバラバ。相変わらず捨て台詞がワンパターンだなぁ、ヤプールは…。

 

 戦いが終わり、夕焼けの空を並んで眺めるゼットとエース。そこでゼットはハルキに、自らの名はエースに贈られたものだということを明かす。地球のアルファベットで最後の文字であるゼット。エースがそこに込めたのは、この若きウルトラマンが長きに渡る争いを終わらせ、宇宙に平和をもたらす最後の勇者になれ、という願いでした。かつて地球を去る時に残したものと同じように、この願いも我々の胸を打つものでしたね。これを聞いた後だと、「ご唱和ください、我の名を!」という一見大仰なセリフも、エースから贈られた名前に対するゼットの誇りと自負の現れのように感じられます。

 

 エースの客演回として、そして、ゼットとエースの誰もが予想していなかった関係性を明らかにした回として、文句のつけどころのない回でした。しかし、ラストは墓標のように地面に突き立ったバラバの剣を見ながら、なにやらウキウキした様子のユカ。おいやめろ、ヤプールなんぞの残したものに手を出してもろくなことにならないぞ。というか、一番の不安要素がデビルスプリンターでもセレブロでもなく主人公の同僚っていうのはどういうことなんだ…。