BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンZ 第20話感想

 科学者である娘、ルリと久しぶりに再会するバコさん。ストレイジの仲間も交えて楽しいひと時を送り、ルリは自らが研究する人工生命M1号を父に会わせようとするが…。

 

 ようやく回ってきたバコさんの主役回。まぁ、バコさんの人となりを考えれば、結婚していて子供がいるぐらいは何も不思議なことはありませんが。エックスの神木隊長は、任務が忙しいあまり妻の死に目にも立ち合えなかったために娘との間がぎくしゃくしていましたが、バコさんとルリの関係は至って良好なようですね。

 

 そんなルリが生み出した人工生命M1号。エックスで数十年ぶりに登場した時は、長く孤独な生活を送ったせいかすっかりやさぐれて厭世的な哲学者みたいな性格になっていましたが、今回のM1号はウルトラQでの初登場と同じく幼児のように無邪気な性格。しかし、そんなM1号の細胞に目をつけた悪の組織がM1号の拉致を計画…って、どこから降って沸いたんだこいつら。物騒な宇宙人の犯罪者が毎回のように登場していたタイガならともかく、ゼットにこんな奴らが現れるのはいささか唐突なような。ともかく、そこに偶然ルリとバコさんが鉢合わせしてもみ合いをしているうちにM1号は配電盤に激突、電気のショックを受けて巨大化してしまうことに。ウルトラQではもともとカプセルに収められていたのが、カメラのフラッシュが原因であの姿になったぐらいですから、巨大化するのもうなずけます。まぁ、いつどんな刺激で大きくなるかわからないうえ、子供のように好奇心旺盛なこいつを自由に遊ばせていて今までこんなことが起きなかったのが不思議なくらいですが。

 

 巨大化したM1号はひとまず麻酔弾で眠らさせたものの、市街地が近いことから駆除命令が下ることに。しかしそれに対してハルキは、自分たちは怪獣を倒すためではなく、命を守るために戦っていると、M1号の救出を主張。ハルキもここまではいろいろありましたが、はっきりと成長が感じられましたね。そして、ルリがM1号を元に戻す薬を開発するまでの間に、ストレイジは一丸となってM1号の市街地接近を食い止めることに。かくして、覚醒したM1号に対して、キングジョーとウインダムであの手この手の作戦で食い止めを図るストレイジ。なんとなく第一作のスカイドンを宇宙に送り返すためのてんやわんやを彷彿とさせますが、終いには祭りの太鼓に合わせて踊りを踊って注意を引くなんていう、ZATがやりそうな珍作戦まで展開。一方、隊長は再三かかってくる上からの催促の電話をやり過ごす。その姿はまさに中間管理職。オーブで魔王獣を操って暗躍していた頃からは到底想像のつかない姿ですが、こんな立場に甘んじてまで何をしようとしてるんでしょうね、この人。しかしその奮闘も空しく、キングジョーとウインダムの2機がかりでも止められない馬鹿力で阻止限界点まで迫るM1号。ハルキはベータスマッシュ、そしてデルタライズクローに変身して食い止める。最初は斬るつもりだったけどハルキの頼みで渋々ながらも拘束に切り替えてくれるベリアロクさん、やっぱりいい人です。そしてその間に、ルリが完成させた薬剤を持ったバコさんがキングジョーに乗りこみ、バズーカ砲でM1号の口に叩きこみ、無事M1号は元に戻ることに。まさに「薬は注射より飲むのに限る」ですが、さすがはスペースゴジラと戦った男(違)、伊達ではありませんでした。

 

 今回の話はハルキの言った命を守るための戦いのためにストレイジが一丸となったものであり、まさにこうしたあり方こそストレイジのあるべき理想のかたちと言えるものでしょう。しかし、次回はどうやらそんな理想の姿に対して影を落とすような展開が待っていそうです。同時にいよいよ物語は最終章へと入るようですが、ストレイジは、そしてハルキは、命を守るための戦いを貫いていくことができるのでしょうか。