BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーリバイス 第3話 感想

 友人とショッピング中にデッドマンズの襲撃に巻き込まれたさくら。駆けつけた一輝がデッドマンズと戦うが、その混乱のさなかにさくらたちが誘拐犯に連れ去られてしまう。誘拐犯が立てこもる倉庫を突き止めた一輝は、大二と協力して彼女たちを救出しようとするが…。

 

 いやぁ、まだ3話だというのに見ていて不穏に感じることばかりですね。まずあの親父。本来一番働かなければいけないはずの三児の父が、動画投稿サイトで一攫千金を夢見てろくに働いてない時点で言語道断なんですが、再開発のための銭湯立ち退きの書類にあんなに簡単に判を押そうとするって、何を考えてるんだか。「お前の父ちゃんやべえよな」というバイスの反応はもっともですが、やはりバイスの言葉は一輝の本音と受け取るべきなんでしょう。そう考えると同じくバイスの「家族ってそんなに大事?」という言葉からは、一輝が普段見せている家族が一番大事という思いとはまた違う感情を内側に抱えているように思えます。また、大二は大二で、兄のことは間違いなく尊敬しているでしょうが、その兄が偶発的とはいえ自分が活躍すべきフィールドに入り込んできたことで、結果的に自分の活躍の場を奪われ思うように働くことができないことに苛立ちを抱えている。表面上は仲良し一家の五十嵐家ですが、一皮むけばその下にはそれぞれが抱えている鬱積した感情が、ふつふつとその温度を高めているのではないか…そう思わずにはいられません。

 

 そう考えると、仮面ライダーでは極めて珍しい「主人公の家族がみな健在」という設定が、極めて不穏なものに思えてきます。ものすごく怖い想像なのですが、もしかするとこの設定、「家庭崩壊」を描くための前提なのでは…。なにしろこの現代では、毒親やヤングケアラーなど、家族の存在が害や重荷となって個人の人生に深刻な問題をもたらすケースが顕在化しつつあり、戦前戦後を通じて核家族化を経てもなお貫かれてきた「家族は一緒にいるべき」という価値観が絶対のものではなくなりつつあります。家族を題材として作られてきた数々の映画やドラマにおいては、円満な家庭を描くものと双璧を成すものとして崩壊する家庭が描かれてきたことは説明するまでもありませんが、もしこの番組が子供向け番組においてはなお絶対のものとして描かれてきた家族神話についてまで踏み込むものであるならば、これはとてつもない衝撃をもたらすことになるのではないでしょうか。まだ3話の時点でここまで想像を膨らませるのはいささか勇み足かもしれませんが、少なくともこの番組、スーパー戦隊では過去にいくつかあったような、家族が力を合わせて危機を乗り越えていくようなものにはならないでしょう。