BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン8話 感想

 タロウとソノイ、翼とソノニが初邂逅。こういう、ヒーローと怪人が互いに敵同士であることを知らぬまま出会い、シンパシーを感じ合ったり惹かれ合ったりする展開を見ると、いよいよもって井上脚本だなぁという感じがしますね。ビル火災の現場でソノイがタロウとともに逃げ遅れた人を救助するシーンは、改めて脳人は単なる侵略者ではないということを印象付けました。しかし、「人の欲望はいずれ世界を滅ぼす」というソノイの言葉に対し、「そうかもしれないな…」と否定どころか同調しているようにも聞こえる反応を見せたタロウ、やはり本来は脳人側の存在なのか…。

 

 …と、それはもちろん重要なことだったのですが、結局ヒトツ鬼戦でつよしのとった行動に全てを持っていかれました。前回の次回予告の時点では、現時点で最大の爆弾と目されていた翼とつよし、夏美とみほの関係について早くも爆発させにかかるのかと戦々恐々としていたのですが、全く違うところからさらなる爆発を起こすとは、やはり井上敏樹という人は恐ろしい人です。他のメンバーと比べると明らかに「普通の人」「一般人」であるつよしが、自分にとって唯一の特別な存在であるみほを思うがあまり、間接的な殺人と言える行為に手を染めるとは。直接的に人に害をなすことには躊躇を覚えるけれど、間接的に人に害をなすことには時に無自覚に手を染める。そういう感覚が、完全な善人でもなければ完全な悪人でもない「普通」の人がいかにもやりそうなことで、その嫌なリアリティに鳥肌が立ちましたよ。これは、普通の人がある日突然超常的な力を手に入れたら、その力をどう使うかという命題に対する一つの答えであり、こういうのはマーベルやDCのヒーローでは珍しくないものの、日本のヒーローではあまり描かれてこなかったものですね。やはり井上敏樹という人は、昔から変わらず、ヒーローを描くことよりも人間を描くことに関心があるのだということを改めて思いました。そしてここで気になるのは、これまでの井上作品では、直接であれ間接であれ、個人的な殺意をもって殺人を犯した者には、(それがファイズの木場や結花のように同情の余地のあるものだったとしても)その行いにふさわしい結末が待っているという不文律が適用されてきたことで、つよしもそれは例外でないとしたら、彼にはどんな結末が待っているかと恐ろしくなりますね…。

 

 あと、つよしにばかり目が行きがちですけど、みほの方もいきなり変質者に拉致され絵のモデルをさせられるという異常な状況に放り込まれながら、言葉巧みに相手の髪を切ってやると持ち掛け、その切った髪をロープ代わりに後ろ手に縛り、その隙に逃げるという、なかなか普通の一般女性には難しそうなことを落ち着いてやってのけたのが、こちらも気になりますね。もちろん、単に肝が据わってるだけという可能性もあるのですが…そういえば、仮面ライダーウィザードのソラ…ファントムになる前から快楽殺人鬼だったあいつも、元はみほと同じ美容師だったな…。