翼主役回…となれば、もはや彼が酷い目に遭う話、というのがもはや、視聴者の間でも暗黙の了解となってきていますね。前回の次回予告から、どうやらイヌブラザーの姿から元に戻れなくなるらしい、というのはわかっていて、長年スーパー戦隊を見続けてきた人なら、敵からの何らかの攻撃を喰らってそうなるんだろう、と予想するでしょう。しかし、そんなセオリーが一切通用しないのがこの番組。冒頭で、飼い犬が交通事故で死んだ現場に花と水を供える少年と出会い、雉野夫妻が手を合わせる。で、その後ヒトツ鬼が出現し、戦いの中でイヌが偶然吹っ飛ばされた先がその現場で、落下の拍子でお供え物を壊してしまい、それによって犬の祟りに遭ってしまう…って、予想できるかこんなもん! 怪人とは何の関係もない犬の祟り(しかも祟りというおどろおどろしい響きとは全く似つかわしくない可愛いコーギー)によってピンチに陥るヒーローなんて、おそらく前代未聞でしょう。しかもこの祟り、単に変身できなくなるどころか、時間とともにどんどん身も心も犬化していき、最終的には本物の犬と化してしまうという恐ろしいもの。だからコーギーの呪いにしては凶悪すぎるって。
一方、一度故郷に戻り、幼馴染からの応援を受けて戻ってきたジロウ。あの幼馴染たち、当然の反応としてジロウのヒーロー願望には呆れているものの、自分たちと違って幼い頃からの夢を追い続けているひたむきさを持ち続けている点に関してはちゃんとジロウを大したものだと思っているのが偉いですね。戻ってきてヒトツ鬼との戦いに加わろうとしたところ、なんとあの闇ジロウが本体から分離。これは大二とカゲロウのように、どちらが生き残るかを賭けたバトルが始まる流れだ…と誰もが思ったことでしょうが、なんとそのまま二人のジロウは共闘を開始。共闘というより、勝手に暴れようとする闇ジロウをジロウが手綱を握りながら戦っているような感じでしたが、二人はロボタロウにまで変身してヒトツ鬼を撃破するのでした。
そんな流れとは切り離され、とうとう本物の犬になってしまい一人の少女の飼い犬になっていた翼。そんなとき、再び事故現場を通りかかったみほが壊れていたお供え物を片付けて手を合わせたことでコーギーの霊が成仏したのか、元に戻る翼。突如戻ったことに特に声を発することもなく、そのままドッグフードを食う翼と頭をなでる少女、というシュールすぎる終わり方。一人だけ他のドンブラザーズのメンバーと切り離されてることでいろいろ割を食ってきた翼ですけど、いよいよそれがのっぴきならないところまで来ているぞ。早くどうにかしてくれ…。