ガエリヤの策謀をきっかけに、消されていたケミーに関する人々の記憶が蘇り街は騒然となり、宝太郎たちにも危害が及ぶ事態に。それを見ていたスパナは、ある決意を胸に行動に移ることに…。
当初から言っている通り、宝太郎の最終目標はグリオンや冥黒王たちを倒して世界を平和にすることではなく、さらにその先にある人間とケミーの共存なんですよね。そのうえで必ず障害となってくるのが、未知の存在を反射的に恐れる人間の本能、それにケミーを悪用しようとする悪い連中であり、宝太郎が夢を追いかけるうえで遅かれ早かれ必ず乗り越えなければならないハードルがいよいよ顕在化したのが今回と言えるでしょう。まぁそれにしたって、ケミーさえ手に入れれば警察だって怖くないぜみたいなことを堂々と口にするばかりか行動にまで移す奴らが多すぎますねこの世界。地上げ屋がまだいる時点で倫理観が昭和で止まってるのかもしれませんけど、文明社会で生きてるならもうちょっと暴力をふるうことに対する心理的な忌避感があるもんでしょう普通。マルガムになっても本人の意思は残るってのも厄介ですね。これがヤミーみたいに怪人化したら本人の意思も失われるような怪人だったら、そんなのになりたがる奴らは大幅に減るでしょうに。
そして、これらの事態を目の当たりにして、鏡花さんまで襲撃される事態に及び、スパナはケミーを全て廃棄することを配信で宣言。「笑えないジョークだ」が口癖の人が「これでは道化だよ」みたいなことを始めるのはマジで洒落になりませんが。まぁスパナは一貫して人間を守ることを最優先に戦ってきた男なので、行動にブレはありません。ここでスパナに考えを改めさせて、人間とケミーの共存が絵空事ではないという現実的な何かを提示できなければ、宝太郎の夢は夢のまま終わってしまうので、それができるかどうかがガッチャードの物語を評価するうえで大きなポイントになるのは間違いありませんね。異種族との共存はこれまでのライダーでも描かれてきましたけど、皆社会の壁の前に結局はなぁなぁで終わらざるを得なかったので、それを覆すことができれば間違いなくガッチャードは屈指の名作となるのですが。