BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンアーク 第5話 感想

 「恐竜博士」の呼び名で子供たちに大人気の古生物学者、牧野博士が街の峠で見つかった怪獣のものらしき化石を調査するために星元市にやってくる。が、調査を開始した矢先、問題の峠に一夜にして湖と化すという奇怪な事件が発生する。SKIPが調査に赴くが、そこで所長はかつての恩師である牧野博士と再会する…。

 

 ここ数回はSKIPのメンバーのキャラを掘り下げる回が続いていますが、今回は伴所長の番ですね。かつて恐竜少年だった(中の人的に言うと恐竜少年ではなく爆竜戦隊でしたが…)彼はK-DAY以前に怪獣の化石を見つけて牧野博士に見せたが、その化石から推定される全体の大きさがあまりに大きすぎ、まだ怪獣の存在が知られる前だったため生物として認めてもらえなかった。結局その後K-DAYが発生し、牧野博士は子供たちに想像力の大切さを説いておきながら常識にとらわれてしまったことを、所長は自分の推測をとことん突き詰められなかったことにそれぞれ悔いを覚えており、そんな2人が協力して怪獣が関係していると思しき湖の謎に挑むというストーリーはよかったですね。

 

 謎の湖を生み出したものの正体は、まさにその化石の主であった巨鯨水獣リヴィジラ。クジラと深海魚が合体したかのような丸々とした体形と巨大な口、シュモクザメのように左右に張り出した突起の先についた目、不気味な発光体と、かなりインパクトのある見た目ですね。後足はがっしりとしていて二足歩行が可能ですが、前足は退化して小さくなっているうえに尻尾の先端と同様に鰭状の形状に。他の水棲怪獣よりもさらに水中生活に適応した特徴ですが、その特徴通りにアークとの戦闘でもほとんどを自分に有利な水中で展開、アークを苦しめました。巨体を生かした体当たり、巨大な口による噛みつき、頭の噴出口からの塩化ナトリウムの噴射などで攻撃を行いましたが、クジラと同じくエコーロケーションで相手の位置を探る習性を逆手に取られ、アークが光輪とバリアを組み合わせて作ったデコイに気を取られて背後を取られ、噴出口を木でふさがれた上にアークファイナライズを口の中にぶち込まれて爆散しました。

 

 問題の謎の湖はリヴィジラ自身が地下水脈を掘って湧きださせたうえに自身の体から出す塩化ナトリウムで塩水化させたものでした。リヴィジラの死とともに塩分濃度は低下して湖の水もやがて引くとは言われましたが、それでも水が引いた後もある程度の塩分は土壌に残るでしょうから、現地の農業の今後が心配ですね。ブレーザーのズグガンと同じく農業にダメージを与える害獣ですが、ズグガンの場合は窒素を奪われた土に窒素系の肥料を与えれば回復できるのに対し、リヴィジラの塩害は土を丸ごと入れ替えるなどの措置を取らなければならない分、より被害が深刻です。人間と同じく、環境に適応するのではなく環境の方を自身の生存に適したものに作り替えるという特異な生態を持ったリヴィジラ。湖の中でもリヴィジラ自身の周囲の水の塩分濃度は35%という、死海と同じくほぼ全ての生物が生存できないものであり、そのことから牧野博士は外敵対策として高塩分環境を作り出して安全地帯を作る生き物なのではないかと推測していましたが、クジラやゾウがそうであるように巨大な生き物というのはその巨体自体が捕食者に対する示威となり滅多なことでは襲われないのですが、リヴィジラがここまでの外敵対策をしなければならないほどの捕食者が存在するとでも言うのでしょうか…?