塩谷が張り込みをしていた現場で、二つに割られた彼のヒトプレスを発見した辛木田。師匠を失った悲しみと怒りに憤る彼に、酸賀は新たに開発した仮面ライダー用の変身アイテムの使用を持ち掛けるが…。
冒頭、二つに割られたヒトプレスが見つかる場面の絶望感がすごいですね。見た目にはアクスタが割れてるだけだというのに、それだけにこんなにもあっさりと人が死ぬのだということが突きつけられるのが恐ろしいです。母親ばかりか師匠までグラニュートのために失った辛木田に、自分の開発した変身アイテムの使用を持ち掛ける酸賀。存在すら世間にほとんど知られていないグラニュートの存在を知っているばかりか、それと戦うためのガジェットを開発できる技術力まで持っているとは、やはりこいつ、ただのグラニュート研究家ではないでしょう。結局はその提案を受け入れた辛木田でしたが、人間である彼がそれを使用するにはショウマとはまた違う改造手術を受ける必要があったのですが…そのやり方がまた、医師でもない酸賀が全身麻酔ではなく局所麻酔で手術を行い、怪しげな器官を体内に埋め込むという、今まで見てきた仮面ライダーの改造手術の中でも見たことがないぐらい雑なやり方。アマゾン奥地の洞窟で古代インカの技術を使って行われたアマゾンの改造手術の方がまだマシに見えますね。
そんないい加減な改造手術でもどうにか成功したらしく、ショウマが取り逃がしていたグラニュート相手に、仮面ライダーヴァレンとなった辛木田の初陣。チョコレートのゴチゾウを使って変身するだけあって、全身を覆う銀紙を剥がして変身完了となるのがいいですね。しかし、颯爽と登場して圧倒的な強さで敵を倒し華々しく初陣を飾るのが普通の2号ライダーにあって、ヴァレンの初陣は改造手術の痛みも癒えぬ青息吐息のまま、必死に敵に食らいついていくという非常に泥臭い戦いになりました。この非常に仮面ライダーの原典に忠実なところと、仮面ライダーのお約束を覆していくところが同居しているのがガヴの面白いところですね。悲壮感の漂う戦いだっただけに、でっかいチョコボールをぶつけるというヴァレンの必殺技がなんだかおかしかったのですが。