BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ウルトラマンアーク 第14話 感想

 再び異変の発生したモノホーンを調査するために現地に向かったユウマと石堂だが、そこで謎の追跡者による襲撃を受ける。その攻撃から2人を守ったアークはユウマの目の前に直接現れ、16年前の事件の真実、そして地球に迫りくる危機について明らかにする…。

 

 石堂さんのレポートというかたちでほとんど総集編だった前回を挟んで、いよいよシリーズも後半戦へ突入…と思ったら、ユウマと一体化してアークとなったルティオンとは何者なのか、16年前のあのK-DAYはなぜ起こったのか、という、前半には全く語られることのなかった、この作品の根幹に関わる最大の謎について、いきなりその真相をほとんど明らかにしてしまったので驚きました。

 

 地球から遠く離れた場所にある、ルティオンの故郷である高度な文明を持った星々がひしめき合う銀河。その太陽にあたる恒星ソニアが膨張を始め、その余剰エネルギーによって星々が焼き尽くされてしまう危機が発生。やがてゼ・ズーという名の指導者が開発した人工ワームホール発生装置「ゼ・ズーゲート」で構成の余剰エネルギーを別の銀河に放出するプランが挙がったが、問題はゲートを開く先を選ぶことができず、なおかつその先にはユウマたちの暮らす地球が存在したことだった。自分たちの生存のためとはいえ、他の惑星に暮らす生命を犠牲とすることをよしとしなかった他の指導者たちはこれに反対したが、ゼ・ズーはこれを強行。反対派の指導者たちはこれを阻止するために1人の勇敢な戦士を派遣した。それがルティオンであったが、これに対してゼ・ズーも妨害のためモノゲロスを派遣。両者はゲート内で交戦しながらついに地球へと達し、ルティオンはどうにかゲートを黒い石のような塊にして封印したが、なおもモノゲロスは攻撃を続け両者は地球へと落下。ルティオンはモノゲロスの撃破には成功したがその戦闘の巻き添えでたまたまその場所にいたユウマの両親が犠牲になってしまい、ユウマもまたモノホーンに押しつぶされかけたところを、咄嗟にルティオンがモノホーンに手を伸ばした結果、ユウマと融合してしまった…これこそが16年前のK-DAYの裏で起きていたことの真相であり、このときルティオンによって狐ヶ森に封印されたゲートこそが、石堂が上からの密命で捜していた「オニキス」と呼ばれる高エネルギー体の正体だった…。

 

 この真相は、第1作「ウルトラマン」や光の国の設定を彷彿とさせるものがありますね。太陽の消滅という危機を人工太陽プラズマスパークの開発によって切り抜けた光の国と、恒星の膨張という危機を人工ワームホールによって切り抜けようとしたルティオンの故郷。ベムラーを追って地球にやってきたウルトラマンに対して、モノゲロスの追跡を受けるかたちで地球へやってきたルティオン、という具合に。それにしても、自分たちの星の存亡がかかっているのだから、他の星なんかどうなったっていいとなってもおかしくはないところを、他の星で暮らす命を犠牲にすることをよしとせずルティオンを派遣した人たちは、本当に見上げたものですね。ルティオンに至ってはユウマの両親を犠牲にしてしまったことを16年の間後悔し続けていて、まさにウルトラマンに相応しい仏様のような慈悲の心の持ち主です。それに対してゼ・ズーは自分たちの生存のためには地球の生命のことは一顧だにしない人物のようで、彼が派遣した宇宙獣、モノゲロス、ディゲロス、そして今回登場したザディーメのいずれもが、コミュニケーションをとるうえで重要な「顔」を持たないということに表れているようにも思えますね。ザディーメとの交戦でエネルギーを使い果たしてしまったアークは変身を解除。そしてルティオンを追ってやってきたゼ・ズーの腹心スイードによって、狐ヶ森に封印されていたゲートがいままさに解かれようとしているという、後半戦突入早々最大の危機のまま、次回へと続く。