リンの学生時代の同級生である芝アオイ。彼女は小説家になるという学生時代からの夢を追い続けながらも、編集者の仕事に忙殺され、生活に疲れ果てていた。そんな彼女の前に、謎の赤い球が現れる。赤い球は彼女の求めに応じて小さな怪獣の姿となり、夢を叶えてくれるその怪獣を彼女は「夢咲き鳥」と名付けて大切にするが…。
オープニングが後期になるとともに映像に登場しファンを驚愕させていたキングオブモンスが遂に登場。ガイアの劇場版に登場して以来、実に四半世紀ぶりの登場、それもTVシリーズには初登場ですから、話題になるのも当然です。ガイアの劇場版同様、今回も願いを叶える赤い球が願望者の歪んだ願いを受けてキングオブモンスと化す、という流れでしたが、ガイアの劇場版は子供たちが主役だったのに対し、今回は夢を追いながらも現実の生活の辛さに打ちのめされている大人の女性が願望者というのがいい対照をなしていましたね。同時に、「想像力を解き放て」がテーマのアークにおいて、その想像力が悪いかたちで結果をもたらすというのもそのテーマに対するアンチテーゼになっていましたし。いきなりキングオブモンスになるのではなく、ベビーザンドリアス(ドリちゃん)→ザンドリアスという変化を挟むのも面白かったです。ザンドリアスとキングオブモンスには赤い眼ぐらいしか共通点はないのですが、よく思いつきましたねこんなの。
キングオブモンスと化した後は、バジリスとスキューラを生み出しこそしないものの劇場版にも引けを取らない破壊力を見せつけ、アークを圧倒。しかし、逃げ遅れた少女を見て自分のしたことの愚かさに我に返ったアオイの願いにこたえるかたちで、なんとギヴァスが月から加勢に参上。相対した時は強敵でしたが、味方になればこれほど心強い友はいません。アークとギヴァスのタッグ相手にそれでも引けを取らぬ戦いぶりを見せたキングオブモンスでしたが、ギヴァスのグラップルアームで拘束されたところにギャラクサーファイナライズを受けて遂に撃破。元の姿に戻った赤い球はアオイとリンの前に現れ、物質文明の究極点として作られたが、人間の欲望には際限がないがゆえに破滅しかもたらせなかった悔いを語り、自身の消滅を願い、アオイがそれを受け入れたことで消滅しました(アオイの前に現れた時に思いっきり悪そうな誘惑の言葉をかけていたので、正直なんか急に反省したようにも見えましたが…)。物語はアオイが再び元の日常に戻り、階段を上っている途中でドリちゃんの鳴き声を聞くところで終わりましたが、劇中で何度も描かれたこの、重い荷物を背負って階段を上っている様子が、現実の辛さに耐えながらも彼女が着実に夢に向かって近づいていることを示すものであることを願わずにはいられませんね。