BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

王様戦隊キングオージャー 第29話

 宇蟲五道化、ゴーマの入れ替わりの術を破り王様たちがトドメを刺そうとした瞬間、突然現れた側近たちによって攻撃を受ける王様たち。それをきっかけにチキュー中で暴動が起こる事態に。それは宇蟲五道化の一人、ヒルビルの策略だった。この事態を収拾するために王様たちは苦渋の決断を下すが、ただ一人、ジェラミーだけは別の決断を下すのだった…。

 

 キングオージャーの他の戦隊にはない特徴として、王様として自国の民を治めなければならない、ということがあります。もちろん歴代のスーパー戦隊にも平和を守る使命があり、彼らは市民を守って戦ってきたわけですが、それはあくまで悪の組織の魔の手から市民を守るという限定されたものであって、それ以外の市民の日々の暮らしについてまでは何の責任を負う必要もなかったわけです。それは警官が犯罪から市民を守ったり、消防士が火災から人々を救ったりするのと同じだったのですが、キングオージャーの場合は政治家なので、市民の生活丸々すべてを守らないといけないのです。これはこれまでにもあったように、王と国民が一丸となることができれば他のスーパー戦隊よりもはるかに大きな力を発揮することができる一方、王と国民がバラバラになれば他の戦隊では起こり得なかった危機を招くという表裏一体のメリット・デメリットを抱えている…ということを前々から危惧してはいたのですが、今回遂にその危機の方が現実のものとなってしまいました。それにしてもヒルビル、キングオージャーが抱える民という弱点を突くことに特化しすぎてますね。宇蟲五道化の二人目が初手で繰り出してきた策でここまでピンチに陥るとは、想像以上でした。そしてこの事態を収拾するために、ジェラミーはこの2年間で築き上げたものを自ら捨てることに…。こんなかたちで追加戦士が一時退場するのも前代未聞ですが、これは五道化の中でもヒルビルは特に無様な死にざま晒してもらわないと視聴者もおさまりつきませんね…。

仮面ライダーガッチャード 第3話感想

 長らく捜していたやりたいこと=「ガッチャ」が見つかり有頂天の宝太郎。アカデミーへの入学も許されたが、ミナト先生からはかなり気難しいというケミー、アッパレブシドーを託され、彼と心を通わせようと奮闘するが…。

 

 前回から姿を現していた謎の男・黒鋼スパナが本格登場。正確には2号ライダーではないのですが、いきなり宝太郎の前に現れて名乗りもせずにベルトを渡せと強要し、断ったら木刀で襲いかかってくる…とまぁ、この手のクールぶってて主人公に敵対的なポジションで出てくるタイプの2号ライダーの役満としか言いようのない行動ぶりに大笑いしました。令和ライダー5作目にもなってまだこんなのを出してくるんだと…まぁ半分は笑ってはいられないんですけど。3話まで来ましたけど、今のところまだこのガッチャードならではという決定的なものを見られていない気がするので、そろそろそういったものを見せてほしいのですが…。

ウルトラマンブレーザー 第10話感想

 休日、息子ジュンの希望で、TVで発見が報じられていた謎の卵を見に行くヒルマ一家。卵の正体はデマーガの卵で、孵化した子供を守るために現れた親デマーガに対して防衛隊は攻撃を開始するが、その最中、ブレーザーがゲントの予期せぬ行動に出る…。

 

 写真では登場していたゲント隊長の妻子がようやく登場し、彼の私生活の様子が明らかに。SKaRDの隊長と言えど、家庭に戻れば普通に皿洗いなんかをするただの父親…なのですが、その皿洗い中にまたもやブレーザーがゲント隊長の意識を乗っ取り。赤ちゃんについての教育番組が流れるTVをジッと見つめていましたが…。

 

 そして休日、息子の希望でとある山で見つかった謎の卵を見に行くヒルマ一家。現地では同じような野次馬がたくさん集まっていましたが、怪獣が毎週のように現れるようなこんな世界でも、怪獣の卵なんか珍しいもんなんでしょうかね。そうこうしているうちに卵からはデマーガの子供が孵化し、さらにそれを守るために親デマーガが出現。久々登場のハルノ参謀長直々の指揮のもと、デマーガの駆除作戦が開始。現場から避難する途中、「怪獣から人の命を守らなきゃならないのはわかるけど、ただ守りたいだけなのはあの怪獣も同じじゃないの?」と息子から疑問を向けられるゲント隊長。そしてその手には、変身を強く促すかのように勝手にブレーザーブレスが出現し…。

 

 アースガロンも投入されての駆除作戦の中、反撃に出たデマーガの前にピンチに陥ったアースガロンを救うと、デマーガへの攻撃に移るブレーザー。レインボー光輪を盾にしてデマーガの火炎弾を防ぎ、さらに光輪を高速回転させて猛風を起こしデマーガを凍りつかせて動きを封じる。スパイラルバレードも応用が利きましたけど、レインボー光輪も負けず劣らず使い道がいろいろあるんですねえ。あとはスパイラルバレードでトドメを刺すだけ…となったところで、突如独り相撲をとるかのように暴れ出すブレーザー。それが収まると、防衛軍が発射した大量のミサイルを全て咆哮で破壊し、スパイラルバレードから出した光の糸でデマーガ親子を繭のように包んで眠りにつかせ、地底へと沈めるブレーザー。それを見ていたジュンは、戻ってきたゲント隊長に今日のブレーザーは今までで一番良かったと笑顔で語りましたが…。

 

 前回から突如ゲント隊長の意識を一時的に乗っ取るようになったブレーザー。野菜ジュースを飲んでみたりTV番組を見たりと、いろいろと謎ですが地球人について学ぼうとしているのはおそらく間違いないでしょう。ネットではデマーガを守ろうとしたブレーザーの行動はゲント隊長の意思か、ブレーザー本人の意思かという点でちょっとした議論になっていましたが、私の見るところではあれはブレーザー本人の意思によるものだったと思います。ニジカガチの件の時、場合によってはヨコミネ教授の殺傷もやむなしというぐらい、市民の安全のためには非情に徹することのできるゲント隊長が、怪獣の親子の駆除をためらって保護に回るとは思えませんし。もしこれが、冒頭のTV番組を見て無垢な赤ん坊は怪獣であれ守るべきだという価値観をブレーザーが学んだ結果だとしたら、ブレーザーは思った以上に無垢というか、価値観や倫理といった自我がまっさらである可能性が出てきましたね。本当に、ここまで謎多きウルトラマンは初めてです…。

ウルトラマンブレーザー 第9話感想

 アンリのもとに届いた1枚の手紙。それは、かつて音楽を通じて親交を深めたツクシホウイチが率いる楽団のコンサートチケットであった。そんな中、宇宙から落下した隕石の中から、奇怪なロボット怪獣が現れた…。

 

 ウルトラQでの初登場から57年。メジャーな怪獣でありながら実現してこなかったウルトラマンとガラモンとの初対決が、ついに実現することになりました。とはいえ、ガラモンと言えば見た目こそ唯一無二のインパクトはあるものの、炎や光線を吐くわけでもなく、特殊な能力を備えているわけでもなく、できることと言ったら体当たりぐらいというのがウルトラQでの描写から測れる戦闘能力で、果たしてこれでウルトラマンとまともな勝負ができるのか?というのがファンの間での下馬評でしたが、いざ訪れた対決の場で、ガラモンが見せた真の実力とは…。

 

 ウルトラQと同様ガラダマに乗って飛来し、ガラダマを割って出現したガラモン。ウルトラQでの最初の登場同様、高熱で干上がった川をガチャガチャと特徴的な足音をたてながらうろついていたところを、まずは迎撃にやってきたアースガロンと対決することに。ウルトラシリーズ最古と最新のロボット怪獣同士の対決となったわけですが、ここでまず我々は驚愕することに。アースガロンの攻撃をおなじみのピョコピョコ跳ねる動きでかわし、Mod.2のレーザーが命中してもそれを弾き、一見柔らかそうな腹にアースガロンがパンチを叩き込んでも衝撃が分散され有効打とならず、転倒してもバネ仕掛けの人形のようにすぐに起き上がる。ついにはその見た目からは想像もつかない大ジャンプでアースガロンを飛び越して背後に回り、体当たりでMod.2を破壊。さらにからだ中に生えた珊瑚を思わせるゴツゴツした棘が装甲に突き刺さり、コクピットにいたヤスノブの鼻先まで貫通する…とまぁ、ほぼ一方的と言ってよいほどアースガロンを叩きのめすガラモン。ガラモンやガラダマを構成する材質で、珪酸アルミニウムの一種であるガラス状結晶体と設定されているチルソナイトは、工業用グラインダーで削っても傷一つつかない硬さと、一抱えほどもある塊でも子供が楽々抱え上げられるぐらいの軽さを併せ持つことがウルトラQで描写されていましたが、まさにその硬くて軽いチルソナイト製のボディこそがガラモンの唯一にして最強の武器であることを、まざまざと見せつけられたわけです。ダウンしたアースガロンに代わって今度はブレーザーが相手になりますが、ここでもガラモンはその持ち味を生かした強さを発揮。なんと、スパイラルバレードをもへし折ってしまいました。一体でこの強さなら、もし「ガラモンの逆襲」のように複数体が投入されていたらと思うと、背筋が寒くなりますね…。

 

 さて、ガラモンと言えばセットで語られるのが、ガラモンを送り込んだ張本人である侵略宇宙人、セミ人間ことチルソニア遊星人。今回のゲストキャラであるツクシホウイチら楽団メンバーが皆セミの名前をもじった名前だったので、彼らがセミ人間であることは容易に想像がつきましたが、ウルトラQセミ人間同様地球侵略のために送り込まれながらも、地球の音楽に魅せられてしまった宇宙人、という描き方をしてくるとは思いませんでした。ウルトラQのガラモンは先行して送り込まれていた電子頭脳が発する電波によって操られていましたが、今回は楽団が演奏する音楽によって操られるガラモン。ツクシホウイチ役の東儀秀樹氏自身が編曲したウルトラQのメインテーマの調べに乗って動き出すガラモンには鳥肌が立ちました。美しく、悲壮な演奏が流れガラモンとブレーザーが戦う中、直感に従って彼らを止めに来たアンリに自分たちの素性を明かすツクシホウイチ。最初はウルトラQ同様の白黒だった画面が、彼らが蓄音機から流れる音楽と出会うことで鮮やかな色彩を帯びる演出は、本当に美しかったです。ウルトラQの「ガラダマ」「ガラモンの逆襲」は、ガラモンやセミ人間という個性的なキャラクターを除けば話の筋立てとしては割とオーソドックスな宇宙人の侵略モノでしたが、そのセミ人間にいつまでも音楽を奏でていたかったが本来の使命を果たすという終わりが来てしまった、まさにセミの宿命そのものを重ねた抒情的な描き方をしてきたというのは、本当に予期せぬ方向からパンチを喰らった気分です。この回の放送を夏の終わりに持ってきたことまで意図したことだったとしたら、完璧に脱帽ですね。

 

 止めてほしかったからこそコンサートチケットを自分に送ってきた、という彼らの真意を汲み、アンリの放った銃弾がツクシの手を撃ち抜いて遂に止まる演奏。それと同時にガラモンの動きも止まり(ウルトラQ同様ゲロを吐くところも完全再現)、ブレーザーは両手にレインボー光輪を出してガラモンを持ち上げながら丸鋸のように削り、遂にガラモンの破壊に成功。ニジカガチを一瞬で真っ二つにしたレインボー光輪をもってしても破壊するのに20秒ぐらいかかったというのが、改めてガラモンのとてつもない頑丈さを描いていましたね。宇宙に音を発する生物は数多くあれど、地球人は「音」を「楽しむ」ことができる。「音楽」を自分たちに与えてくれた地球人を消さずに済んだことに安堵するツクシを壇上に残してステージの幕は降り、物語もまた終わる。「これから30分、あなたの目はあなたの体を離れ、この不思議な時間の中に入って行くのです」。ウルトラQにはこのナレーションの言葉通り、見ている人間の心が体を離れ、作中世界の不思議な時間の中に入り込んでいたところで突然そのつながりを断ち切るような唐突な終わり方をする回がいくつもありますが、今回もまた、そんな作品世界の中に突然心を置いていかれたような気分になりました。ウルトラマンZの「2020年の再挑戦」、デッカーの「らごんさま」と、近年ウルトラQに最大のリスペクトを捧げながら新たな視点と解釈を加える精神的続編とも呼ぶべき作品が作られていますが、今回の「オトノホシ」はその中でも最高傑作と評しても間違いはないでしょう。今回の脚本を担当した植竹寿美男氏が今年2月に亡くなられたというのが残念でなりません。

王様戦隊キングオージャー 第27話

 前回で第1部が終わり、それから2年後として第2部が始まったわけですが、せっかくジェラミーが王となって第6の王国となったバグナラクは謎の敵の襲撃を受けてのっけから壊滅するわ、そんな非常時にも関わらずギラとジェラミーを除く王様たちはなぜかゴッカンに投獄されていて側近たちが代わりに王になっているわで、いきなり「この2年で一体何があった…」と茫然となりました。そんな我々視聴者を置き去りにするかのように堂々と姿を現す、人類とバグナラクの戦争を仕組んでいた黒幕、宇蟲王ダグデド・ドゥジャルダン。なんと、「宇宙を整理する」目的で異なる種族同士を戦わせることで多くの惑星を滅ぼしてきており、しかもそれを「ふざけている」と自認している、エボルトとセレブロを合わせたような最悪な精神性を持ったサノス並みのスケールをもつとんでもない敵が現れました。第2部になって物語のステージが上がるとは思っていましたが、こんな階段を何段もすっ飛ばすようなかたちでスーパー戦隊史上最大級のスケールの敵が登場するとは思ってませんでした。そんな敵の登場にもギラは臆せず立ち向かい、投獄されていた王様たちも自ら脱獄して各地を襲撃していたダグデドの部下「宇蟲五道化」を撃退し、かくして新たな戦いの幕は切って落とされた…わけですが、最後に明かされた王様たちの罪状が…。まぁこの人たち、本質的にはアホで自分勝手なのであんなアホなことをするかしないかで言えば間違いなくするんですが、新米の王様であるギラと承認されたばかりの新国家の王となったジェラミーがこの2年間悪戦苦闘してたでしょうに、何をやってるのやら…。

 

 ところで、ダグデドの部下たちが名乗っていた「宇蟲五道化」。ダグデドを主としてそれを楽しませる5人の道化、という意味だと思うのですが、五道化と言いながら4人しか出てこない。それに、ダグデドが姿を現す際に現れた、「神の怒り」を思わせる大量のシュゴッドの群れ。まさか、残る一人があの…?

仮面ライダーガッチャード 第1話感想

 今年も新しいライダーのスタートの時がやってまいりました。第1話の全体的な感想としては、平成ライダーっぽい感じに回帰したな、という印象ですね。特に主人公がなんかスケールはデカいけど具体的ではない夢を求めている高校生、というのがジオウを彷彿とさせますね。そういえば主人公が高校生、というか未成年というのも、令和ライダーになってからは初めてですか。特異な点としては、どうやらライダーのベルト自体が敵の狙いのようで、ベルトが敵味方の争奪戦になりそうなのは実にファイズ以来となりますね。解放されたケミーの回収が今後のストーリーの中心となりそうですが、第1話としてはオーソドックスなものだったので、今後の展開に期待したいと思います。

ウルトラマンブレーザー 第8話感想

 ブレーザーをも退けたニジカガチ。ニジカガチの作り出した超巨大台風による文明の洗い流しを阻止すべく、テルアキが横峯教授の説得に向かう一方、ゲントはまだテスト段階にあったアースガロンの新装備Mod.2の実戦投入の決断を下す。

 

 アースガロン、ブレーザーのニジカガチとの第二ラウンド。純粋なパワーでもアースガロンを圧倒し機能停止に追い込むニジカガチでしたが、ゲントが電源を再起動したことで復活。Mod.2のレールガンが見事ニジカガチの額を直撃すると、そこから噴き出した虹のエネルギーをブレーザーがつかんでニジカガチストーンへ変化させ、それを使って放たれた新必殺技・レインボー光輪によってニジカガチは真っ二つとなり爆散、台風とともに霧散したのでした。横峯教授は腕輪を破壊されニジカガチをコントロールできなくなったあとのことを「神のみぞ知る」と言っていましたが、ニジカガチの操る台風、すなわち水害はこの国に人が移り住んで来てからずっと戦い続けてきたものであり、今回もまた、アースガロンという人類の英知の結晶によってそれは阻止される結果となりました。それにしても、スパイラルバレードも派手な技ではありますが、レインボー光輪はさらに輪をかけてド派手な必殺技ですね。光の槍→八つ裂き光輪と、だんだん必殺技がウルトラマンらしくなっていっているようにも見えるので、これで最終的に最強の必殺技がオーソドックスな腕を十字やL字に組んで放つ光線だったら熱いです。