BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

怖い話の賞味期限

 「人は誰も1つはすべらない話を持っており、そしてそれは誰が何度聞いても面白いものである」。「人志松本のすべらない話」の冒頭のナレーション(by若本)の一節です。あいにく誰に話しても爆笑を誘えるような鉄板のネタは持ち合わせていないので前半については賛同しかねますが、後半についてはうなずいてもいいでしょう。まぁ、あの番組の話に関しては、芸人さんたちの話芸の果たすところも大きいのですが。

 世の中には様々な話があります。面白い話、悲しい話、感動する話、不思議な話・・・いちいちあげていってはキリがありませんが、同じ話で何度楽しめるか(あるいは悲しめるか、感動できるかなど)、というのは、結構重要なことだと思います。すべらない話のナレーションの通り、たしかにすべらない話は何度聞いても面白いでしょうけれど、二度目、三度目と聞くときには最初に聞いたときほどには笑えないでしょうし、百編も聞くころにはもはやクスリとも笑えないかもしれません。一方、悲しい話に関してはそういうのは少ないと思います。私の場合、「火垂るの墓」を初めて見たときにあまりに救いようのない話がほとんどトラウマのようなものになってしまい、以来ずっと見るのを避けています。あれはたとえ百回見たとしても、悲しい話であることには変わりはないでしょう。「感動の劣化」とでも申しましょうか、同じ話を何度も聞いてどれだけ「面白い」とか「悲しい」と思えるかというのは、話の種類によってかなり変わってくると思います。

 私の場合面白い話と同じぐらい「怖い話」が好きなのですが、残念なことに怖い話は「感動の劣化」が大きい部類の話であり、一度聞いた時と二度目に聞いたときとでは、感じる怖さがだいぶ違ってきてしまいます。おかげで、実話怪談の本を買う時などは、「買って繰り返し読んでもそう何度も怖がれないからなぁ」と、ハードカバーやソフトカバーの本は購入を控え、図書館で借りるのが主になってしまっています。購入するのは基本的には文庫本が中心です。価格は千円もしませんし、短いスパンで新刊が出るので次々に新しい恐怖が楽しめますし。特に竹書房ホラー文庫にはいつもお世話になっています。今日も新刊が出ているのを本屋で見つけたので、さっそく購入しました。さてさて、今回は眠れないほど怖がらせてくれる話はあるでしょうか。

FKB 口寄怪談 (竹書房ホラー文庫)

FKB 口寄怪談 (竹書房ホラー文庫)