BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の烈車戦隊トッキュウジャー 終着駅感想

 闇の力をもってしてもゼットを討ち果たすことができなかったライト。しかし、そこへ駆けつけたのは彼のことを思い出し再びトッキュウジャーとなった仲間たちだった・・・というわけで、ついにトッキュウジャーがたどりついた終着駅。ライトのお母さんたちが神社の石段に置いた灯篭がそのまま光のレールとなってレインボーラインが復活する展開や、今まで死に場所死に場所と言っていた明がレインボーラインを自らの「生きる場所」と言ってネロ男爵に戦いを挑む場面、そして最終回恒例の素面名乗りなど、最終回だけあって胸が熱くなる展開の連続。仲間たちからトッキュウレッシャーを託されたライトが、次々に乗り換えならぬ「乗り継ぎ」を繰り返し、最後には虹色に輝く「トッキュウ1号レインボー」となってゼットを倒す展開も、ラストバトルとしてこれ以上ない見ごたえでした。

 結局、ゼットは完全に倒されることはなく、彼によって生かされていたグリッタによって深い闇の底へと変えることに。彼女を消さずに生かしておいたのは、ゼットがキラキラを手に入れられないことに対して完全に絶望したわけではなかったことの証なのでしょうね。「闇があるから光がある」というのは使い古された言い回しですが、グリッタがゼットにかけた言葉は、まさにそうして闇の存在をも肯定するものだったと思います。いずれにせよ、ゼットは「望んでやまないものを絶対に手に入れることができない」という悲劇性を持って最初から最後まで主人公であるライトの向こうを張る、ラスボスというよりは闇の主人公というべき存在であり、ただ倒されるにはあまりにももったいないキャラだっただけに、消えることなく物語が終わったのはうれしいですね。

 そして、全ての戦いを終えたトッキュウジャーを待ってきたのは、それぞれの家族の出迎え。そして彼らは子供の姿へと戻り、家族のもとへと帰っていく。絵に描いたようなハッピーエンドですが、本来子どもでありながら苦しい戦いを戦い抜いたのですから、こうならなければ嘘というものです。タイムレンジャー以降の小林靖子氏がメインライターを務めたヒーロー作品の最終回は必ず、主人公が仲間たちと別れ新しい日々に歩み出すという、別れの寂しさと未来への希望が合わさったものでしたが、今回の最終回には寂しさはなく、イマジネーションを謳ったこの作品らしく、未来への希望だけを感じさせる最終回でした。今までの小林脚本の最終回での主人公としての役回りは、むしろ明が引き受けたようなものでしょうね。ライトたちが元の生活に戻った後も、ライトたちからもらった名前に恥じぬよう、これからも彼はレインボーラインを守るために戦い続けるのでしょう。烈車を下りた者にもこれからも乗り続ける者にも、虹のように輝き続ける明日が待っている。一年間、ありがとうございました。

 さて、恒例のレッドバトンタッチもやって、いよいよ来週からはカクレンジャーハリケンジャーに続く新たな忍者戦隊が参上!