BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

小説 仮面ライダーカブト

小説 仮面ライダーカブト (講談社キャラクター文庫)

小説 仮面ライダーカブト (講談社キャラクター文庫)

 小説仮面ライダー第一弾三作、まずはカブトを読み終わったので感想を。文庫本で250ページにも満たないボリュームなので、サクサク読めるのはいいですね。

 まず何を置いても言わなければならないのが、本文の三分の二ぐらいはTV本編のリプレイだということ。渋谷隕石落下の時の天道とひよりの出会い、第一話での天道と加賀美の出会いとカブトの初戦闘、そこから一気に飛んで全人類ネイティブ化を企む根岸一派との決戦。6年前の作品なので細部までしっかり覚えているわけではありませんが、おそらくTV本編とこの小説で内容には全く差がないはず。決戦のところまで読んだところで、「ここまでのくだりにはどんな意図があったのだろう?」と思ってしまいました。私のように既に本編を見ている人間にとっては同じ展開を文章で読まされているだけですし、かといって本編を見ていない人間への説明としては、第1話から終盤までの話をすっ飛ばしているのであまりにも不十分です。カブトは龍騎に次いで登場人物(というかライダー)が多い作品なのに。

 残りの三分の一は何かというと、最終決戦後なぜかタイへと旅立ったひよりを捜しに加賀美が自らもタイへ向かう、深夜特急のようなそうでないような道中の話。残念ながらこのパートも私には意図がつかめず、結局終始「?」が頭上に浮かんだまますべて読み終えてしまい、「あえて出す意味あったのか?」とまで思ってしまいました。カブトのウリといえば周囲が静止して見えるほどの超高速戦闘ですが、これはどうしてもビジュアルありきのものなので小説ではその魅力をどうしても表現しきれないのも不利ですね。どうせなら本編で描かれていない、矢車がZECTを追放されてからキックホッパーになって戻ってくるまでの話とか、本編では飛び飛びにしか出番がなかった大介の空白の時期を埋める話とか、天道や加賀美以外にスポットを当てた方が面白かったんじゃないかと思いました。名前がちょこっと触れられるだけで出番がない剣も不憫です。やっぱりカブトは登場人物が多すぎたんだなぁと、6年越しに改めて思いました。