- 作者: 郷内心瞳
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2015/06/20
- メディア: 文庫
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すっかり日差しも強くなり、いよいよ夏も近づいてきた、からというわけではありませんが、久しぶりに「これは!」という怪談本に出会うことができたのでレビュー。
宮城県で「拝み屋」を営む郷内心瞳氏による「拝み屋郷内」シリーズの三作目。第一作の「怪談始末」を初めて読んだときは、現役の拝み屋さんならではの本人の体験を中心とした他とは一味違う怪談の数々にうならされました。中でも筆者の少年時代から折に触れて彼の前に現れる謎の少女「桐島加奈江」の話に至っては、もはや貞子に匹敵する恐怖と存在感を放っていて、これは怪談界にとんでもない新人が現れたぞと興奮したものです。
その後、不覚にも二作目の「花嫁の家」が出ていたことに全く気付かず、三作目となるこの本を書店で見かけて即購入したわけですが、今作も期待を裏切らない傑作でした。序文で触れている通り、今作は作者が物心ついた時から拝み屋になるまでに至る経緯を彼の体験した怪談を中心として語っていくもの。実を言うと途中までは、確かに今回の話も怖いし面白いけど一作目に比べるとなぁ、と思いながら読み進めていたら・・・やられました。
この人が並の怪談作家とは明らかに違うと思うのが、話の構成の巧みさ。第一作の「怪談始末」も、全く別の話と思いきや途中でいきなり「加奈江」が現れるというのが何度もあってそのたびに筆者と読者を恐怖に陥れました。そして今回は、全く関係のない個別の話と思われていた怪談の数々が終盤に一気に収斂し、さらに度肝を抜くどんでん返しが用意されております。ジェットコースターに乗って単調な上り下りが続いていたかと思っていたら、最後にほぼ垂直の落下が待ち受けていた、という感じの読後感。終盤の「同じものを見ている」からラストまでは、一気に読まずにはいられないでしょう。とにかく怖い話が読みたいという方には、郷内氏の過去作も含めて自信を持ってお勧めします。
- 作者: 郷内心瞳
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
- 発売日: 2014/05/22
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- 作者: 郷内心瞳
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