BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダー×仮面ライダー ゴースト&ドライブ 超MOVIE大戦ジェネシス 感想

 毎年恒例、現役最新ライダーと一つ前のライダーの劇場版共闘編。今年もさっそく見てまいりましたのでレビューします。ネタバレも含みますので、まだ見ていない方はご注意を。

 MOVIE大戦シリーズといえばその第一作であるW&ディケイドの頃から、二人のライダーがそれぞれ別のストーリーで悪と戦い、最後に合流して力を合わせて巨悪を倒す、という筋立てがセオリーでしたが、今回初めてそのセオリーを崩し、不可思議現象の捜査を命じられた進ノ介たちが大天空寺へとやってくるというかたちで、最初からゴースト・ドライブ双方のキャラたちががっつり絡んでくる展開に。おかげで両作品のキャラの絡みをしっかり楽しむことができるのですが・・・。

 なんといっても、とにかく「話が粗い」の一言に尽きます。ストーリー自体は決してつまらないわけじゃないのに、尺を割いてほしいところをさらりと流したり、反対にどうでもいいところに時間をかけたりといった調子で、材料はいいのに調理の仕方を間違えた料理を食わされたような、そんな微妙な気分になるのです。特にその割を食らったのが、チェイスTVシリーズでの最期に視聴者の涙を誘った彼がどのように復活するのか、大部分の観客はそれを楽しみにこの映画を見に来たはずですが、その肝とも呼べるところをものすごくあっさりと流したのには、さすがに呆れました。おまけに、チェイスの最期を看取ったのは剛だけなのですから進ノ介も霧子もチェイスに言いたいことはたくさんあったでしょうに、せっかくチェイスが復活しても特にそれを喜んだりする明確な描写がないのはなんとも物足りない気分でした(進ノ介に至っては結局チェイスには一度も会えずじまいで終わってしまいましたし)。ハート、ブレン、メディックの三幹部も、ただの悪役として復活してこれといった見せ場もないまま消えていきましたし、せっかくTVシリーズでそれぞれきれいな最期を迎えたのに、これでは蛇足としか言いようがありません。なぜか大天空寺の庭にいたり、10年前のシーンではほとんどしゃべらないベルトさんもものすごく不自然。究ちゃんに至っては他の特上課メンバーは出番が多いのにエンドロールにしか出番がありません。ドライブのキャラたちにとってのラストランとしては、甚だ不満のあるものとなってしまいました。

 ・・・とまぁ、とにかく不満と不足が目につく映画なのですが、要所要所でタケルを励ましたり叱咤したりする進ノ介の先輩ライダーらしい風格の身についたふるまいには、一年間ドライブを見届けた人間としてわが子の成長を見るような気分になりました。そして一番の見どころは、竹中直人片岡鶴太郎のモノマネ対決です。