BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

爆上戦隊ブンブンジャー バクアゲFINAL

 ついに幕を開けたブンブンジャーとハシリヤンの最終決戦。ブンブンジャーの前に立ちふさがるのはグランツ・リスク。ハシリヤンの大番頭としてスピンドーへの絶対的な忠誠に支えられた強さを見せるグランツでしたが、それに対して一騎打ちで挑むシャーシロは「お前には自分のハンドルがない」「スピンドーにハンドルを渡し、自分で握ることを放棄した」と喝破。「自分のハンドルを握ってる奴が強い」が強いというブンブンジャーの物語を貫く不文律は最終決戦においても貫かれ、ついにグランツはシャーシロの繰り出した一撃に貫かれ、最期までスピンドーへの忠誠を叫びながら爆散して果てたのでした。クライマックスに突入してからのシャーシロは仲間を裏切ったフリをしながらスパイとしての役割を果たすという難しい役割を任されていただけに、その鬱憤を晴らさんばかりの最終回でのこの活躍ぶりは爽快でしたね。

 

 しかし、グランツは自らの断末魔の叫びをトリガーとして地球全土のギャーソリンを集め、スピンドーに捧げることで彼の復活に成功。復活したスピンドーはグランツの忠誠に報いるようにブンブンジャーを追い詰めるものの、それでもブンブンジャーは立ち上がる。地球と同じく悲鳴に満ちた星に生まれ、その悲鳴を自らの糧とし続けることを望むスピンドー。それに対して、「世界を変える、悲鳴のない世界に」と力強く叫び、スピンドーに「一緒に走らないか?」と声をかける大也。正直、この時点でもう格という意味において勝負は決していたと思いますが、サンシーターがライブ中継していたこの戦いの様子を見ていた人々から応援、そして歓声が届き、それが最後のカギとなってついにブンブンが復活。仲間たちから力を託された大也とブンブンは最後の一撃を繰り出し、ついに膝を屈するスピンドー。大也はスピンドーにとどめを刺さず、自ら裁きを受けるように促したが、スピンドーはハンドルを他人に握らせないと言い張り、砂となって消えていった。極悪人ではありましたが、最期まで自分のハンドルを握り続けたという点では、スピンドーは見事な散り様でしたね。しかし、自分のハンドルを握っていたとはいっても、多くの部下を従えながら結局スピンドーは本質的には自分だけで走っていたわけで、かつてマッドレックス様がキャノンボーグに言った「一人で走ってるから遅い」という言葉の通りブンブンジャーに追い抜かれたというのは皮肉なものです。マッドレックス様がスピンドーの最期を見ていたらなんと言ったでしょうかね。

 

 そして数ヶ月後。宇宙をまたにかけ権勢を誇ったハシリヤンは、スピンドーの死によって脆くも瓦解。ハシリヤンと癒着していた常槍や内藤の悪事も調さんの活躍によって白日の下に晒され、ISAは彼女を本部長として再出発を切ることに。サンシーターもまた、自分たちがテッペンのサンシーター帝国建設を夢見て宇宙へ飛び出していく。そしてブンブンジャーは、留守の間の地球の平和を始末屋に任せ、その結成の本来の目的であり念願であったBBGに出場するためについに宇宙へ。地球へ、そして宇宙全体に最高のバクアゲを届けるため、予選をトップで走りぬけたブンブンジャーは、決勝のコースへと飛び出していく…。

 

 というわけで、今回も一年の間、存分に堪能させてもらいました。ゼンカイジャー、ドンブラザーズ、キングオージャーと変則的にも程がある戦隊が続いたあとに来たのが「爆上戦隊」という名を冠した戦隊で、これはまた今年もキワモノかなと最初こそ思いましたが、蓋を開けてみればそれら直近3作と比べれば実に戦隊らしい戦隊でした(まぁ逆境ナインそのものな野球回とか、様子のおかしな回はたくさんありましたが、それはまあもはや戦隊というのは程度の差こそあれそういうものなので…)。自分のハンドルは自分で握り、常にみんなに最高のバクアゲを届ける。そんなモットーの気持ちのいい連中の繰り広げる物語にはこっちも毎週バクアゲな気分になりましたし、それとは対照的に武力ではなく権力によってリアルに嫌な追い詰め方をしてくる今までにない悪の組織であるハシリヤンにも驚かされました。これまでの戦隊と同じく、一年間をトップスピードで走り抜けた彼らと別れるのは名残惜しいですが、これからも彼らは周囲をバクアゲにしながら走り続けてくれることでしょう。スタッフ、キャストの皆さま、バクアゲな一年をありがとうございました。