スイスでベーシック・インカム導入を国民投票 成人に月27万円支給
http://blog.livedoor.jp/dqnplus/archives/1777007.html
最近ベーシック・インカムに興味を持ち、山森亮氏の「ベーシック・インカム入門」を読んでいたところだったので、図らずも自分にとってタイムリーなニュースとなりました。導入するかどうかを国民投票で決める、という段階の話なので、まだ正確に導入されたわけではありませんが。
「ベーシック・インカム入門」でベーシック・インカムの定義の代表的なものとして取り上げられている、アイルランド政府が2002年に出した「ベーシック・インカム白書」での記述は以下のようなもの。
- 個人に対して、どのような状況に置かれているかにかかわりなく無条件に給付される。
- ベーシック・インカム給付は課税されず、それ以外の所得は全て課税される。
- 給付水準は、尊厳をもって生きること、生活上の真の選択を行使することを保障するものであることが望ましい。
人間らしく生きるために十分な額のお金が誰に対しても支払われ、税金を取られることもない。それがベーシック・インカム、というわけです。今回のスイスでの事例での支給の要求額は毎月約2800ドル。今日現在で1ドル約97円なので、日本円に換算すると27万円とちょっと。スイスは生活費全般が日本より高く、それに合わせて平均月収も40万円台のようなので、純粋な意味ではベーシック・インカムとしてはちょっと額が少ないようですが、今後の先進国での導入に何らかの影響を及ぼす可能性は高そうですね。
ベーシック・インカムは無条件にみんなに支払われるお金なので、生活保護のような申請のための手続きはありませんし、もらうことへの心理的抵抗感もなし。支払いが滞りなく行われれば、しばしばニュースとなる貧困世帯の餓死のような悲劇的なニュースはなくなります。支払う側の国や地方自治体にとっても、生活保護の支給を行うための審査のような面倒な手順が不要になります。
世間でのこれに対する反対意見は大きく二つ。財源をどうするんだという論点と、そんなものを導入したらみんな働かなくなるんじゃないかという論点。前者に関しては私も一筋縄ではいかないとは思いますが、後者に関しては、この制度は別に働くことを禁止するものではないのだから、支給される額だけでは足りないとか、あるいは純粋に働くのが好きだという人は今まで通り働けばいいんじゃないかという気がするのですが。日本の場合は憲法に労働の義務を掲げるぐらい労働を神聖視し、労働に対して個人の自由や時には命すら捧げろという風潮さえありますから、導入にあたっては根本的な日本人の意識改革が必要となるでしょうね。
人類のこれまでの発展は、「自由になること」を目指してきた道のりと言い換えることができると思います。農耕や牧畜は、自然の食物連鎖から自由になるためのもの。医療の発達は、病気や寿命から自由になるためのもの。機械の発達は、肉体を酷使する苦役から自由になるためのもの。それならば、人間が労働から自由になるための方法を実現しようとすることに、なんら問題はないのではないでしょうか。パトレイバーの後藤隊長曰く、「みんなで幸せになろうよ」。ほんと、みんなで幸せになりましょうよ。
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