BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

宇宙刑事ギャバン THE MOVIE感想:やっぱりギャバンにドラマはいらない?

 「宇宙刑事ギャバン THE MOVIE」、予定通り公開初日に観てまいりました。ネタバレを含みますので、まだ観ていない方はご注意ください。

gavan.jp

 観終わって最初に思ったことは「自分の中のハードル上げすぎたかな・・・」でした。期待外れ、とまでは言わないものの、見ている途中から感じていたモヤモヤが結局解消されないまま、映画が終わってしまいました。

 何かが足りなかったというわけではありません。アクションシーンはギャバンの劇場版として質・量ともに申し分のないものでした。石垣さんはもちろん、この年であれだけのアクションをこなせる大葉さんには今回も驚嘆させられます。魔空空間での戦いではショッピングモール、走る路面電車の車内という珍しいシチュエーションでのアクションが見られました。魔空空間から脱出した後烈が撃に「すごかっただろ魔空空間」と笑いながら言うあたりは、烈ぐらいのベテラン宇宙刑事ともなれば魔空空間もアトラクション同然なのだなと笑ってしまいました。

 二代目ギャバンである撃に不満を感じたわけでもありません。主役交代はずっと前からわかっていましたし、ゴーバスターズとのコラボのおかげでどういうキャラなのかもわかっていましたし(ただ今回とゴーバスターズとを比べると、ゴーバスターズの方が余裕を感じられるので時系列的には後なのでしょうか)。まぁ、敵の罠が待っているのが濃厚な場所にヒロインと一緒に行ってまんまとさらわれてしまうのは、さすがに未熟というより迂闊すぎだろと思いましたが。

 いろいろ考えてみましたが、一番の問題は撃とヒロイン・衣月と親友・遠矢の三角関係が物語の中心になっている点だと思います。三角関係と書きましたが実際のところマクロスシリーズのように深く丁寧に掘り下げているわけではないので、物語の中心となる要素としてはどうしても底が浅く、あまり感情移入することができなかったのです。結局映画のラストも、撃が衣月に渡した手紙を読むだけでものすごくあっさりしていました。まぁ、ファイズやキバみたいなドロドロの展開をギャバンでやられたりしたら、それこそ金返せと叫ぶところですが。

 前にも書きましたが、やっぱりギャバンにはドラマはいらないんじゃないかと改めて思いました。もともと、主役が走ったり跳んだりしているだけで30分の番組が成立してしまう(しかもものすごく面白い)作品なのですから、ドラマはすっぱりと捨てて完全にアクションだけで通した方がよかったのではないかと思いました。シャイダーの劇場版がそうだったように。

 予想はしていましたが、シャリバンシャイダーの出番は終盤ギャバンの助っ人として現れて敵幹部と戦うのがほぼ全て。「レッツゴー仮面ライダー」のときのキカイダー兄弟、イナズマンズバットよりちょっとマシな程度の扱いでした。二代目シャリバン日向快、二代目シャイダー烏丸舟ともに満足なセリフもないので、それぞれの人となりも全くわかりません。ただ、燃える太陽を背に放つシャリバンクラッシュのかっこよさは期待どおりでした。

 ゴーカイジャーVSギャバンでは名前しか出てこなかったドン・ホラーは、今回は実体はないとはいえちゃんと飯塚昭三さんの声で登場。しかし、最近ドン・ホラーは本編と比べるとなんだか大げさに扱われすぎな気もします。これが魔王サイコだったら、いくら祭り上げられても納得できるんですけどね。

 ・・・と、いろいろと書いてしまいましたが、これからご覧になる方はあまり自分の中のハードルを高くしないことをお勧めします。特にゴーカイジャーVSギャバンを見て期待を膨らませた人は要注意ですね。