BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

暴太郎戦隊ドンブラザーズ ドン22話 感想

 前回に引き続き、ソノザによって缶詰め状態で初恋ヒーローの続きを描かされるはるか。本人もやる気は十分なのだが、どうもスランプらしくなかなかソノザの心を動かすようなものは描けない。そのうちに、話ははるかが盗作者扱いされた原因となった漫画家・椎名ナオキを連れてきてのマンガ対決に発展し…。

 

 強制的に始まった缶詰め漫画家生活にも関わらず、これを漫画家としてのステップアップのための機会としてはもちろんのこと、脳人の心をも動かした自分のマンガで人類と脳人の懸け橋になりたいという壮大な夢を持つはるか。やっぱりこの子、漫画家としては岸部露伴並みの傑物ですね。しかしその熱意と裏腹に出てくるものは強引で説得力がないを通り越してもはやシュールな内容ばかり。そのマンガ世界を映像で見せられるんですから、視聴者はいつも以上に困惑しきりです。しまいにははるかの脳内で例の神輿天女の格好をしたはるかが「私はスランプ! スランプ娘~!」などと踊り狂うイメージまで見せられることに。まぁ確かに、スランプというのはアイディアが何も出てこないというばかりではなく、なんか変なイメージは湧いてくるんだけどそれを作品としてうまいことまとめることはできないというタイプのもありますからね。そんなはるかに、「人間というのはこんなに簡単に恋に落ちるものなのか?」とか、もっともな指摘をビシバシつけていくソノザ。人間の感情に疎い人外だからこそ、人間の感情描写として説得力に欠けるものには的確な指摘ができるというのは、本当に意外なかたちで敏腕編集者としての才能が開花しましたね。ソノイやソノニと違って、長らくドンブラザーズの特定の誰かと絡むこともなく、どういう方向でキャラクター性をアピールしていくかが全く見えなかったソノザですが、こんなかたちでわずかな間に強烈な個性を発揮し、しかもそのトリガーとなったのがここまで接点のなかったはるかということまで含めて、やっぱりすごいですね井上敏樹は。

 

 で、話はそもそもはるかが盗作者呼ばわりされ、スランプに陥る原因となった謎のマンガ家・椎名ナオキを連れてきてのマンガ対決。劇場版にも登場したこの漫画家、なぜかウサギの着ぐるみを着て一切しゃべらない怪しすぎる存在ですが、今回さらに、はるかの得意料理であるビーフストロガノフをはるかのものと味まで同じに作るという、さらに謎めいた点が明らかに。対決は途中でヒトツ鬼が現れたために中断となり、はるかが戻るとそこにはソノザもナオキも姿はなく、ただナオキの原稿のみが置かれており、それを見たはるかが完敗を認めながらも必ずそれを超えてみせると決意する、熱血漫画家が主人公のマンガみたいな終わり方でしたが、この椎名ナオキの正体も、ドンブラザーズというそれ自体が謎だらけのシステムに深くかかわっていそうな気がしますね…。