BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

王様戦隊キングオージャー 第37話

 奪還に成功したイシャバーナに続き、トウフの奪還に乗り出すカグラギ。彼に代わりトウフの玉座に座っているのは、グローディーによって甦らされた、17年前にカグラギによって討たれたと言われる先代の女王、イロキ。単身城に乗り込むカグラギの心中には、17年前に果たせなかったある覚悟があった…。

 

 劇場版に登場したトウフの先代女王、イロキがまさかのTV本編に再登場。しかもグローディも出ているのでまさかの夫婦共演実現ということで、二重の意味で放送前から話題になっていましたが、蓋を開けてみればそんなわかりやすい話題性よりも、とてつもなく重厚な内容に息を吞む回でした。

 

 17年前、「神の怒り」の際にイロキは国中の米を独占し民を飢えさせた末に、当時はただの農民であったカグラギによって討たれ、彼が新たな王殿になった。これが作品の内外を問わず語られてきたかつてのトウフの王位継承の経緯。しかし、実態はさにあらず。実は神の怒りの際に死体の大量入手を図ったグローディによってトウフの米に毒が混入され、毒入り米の話が国外に伝わりトウフの信用が地に堕ちることを避けるため、イロキは暴君の謗りを受けることを承知の上で食料を独占し、民の恨みを全て引き受けたうえで懇意にしていたカグラギに後を譲り、自害同然の最期を遂げていた…とまぁ、およそ子供向け番組とは思えない真相でした。カグラギ役の佳久さんとイロキ役の雛形さんの熱演も相まって、もはや大河ドラマです。17年前は裏があることは察しつつもその真相に気づけず、自分を討てというイロキの頼みも聞けなかったカグラギ。その真相に気づき、改めて「民のためには泥に塗れて手を汚す」「真っ黒に染まってこそトウフの王殿」とトウフの王殿としての覚悟を示し、グローディを追い払ってトウフを取り戻すカグラギ。今度も彼女を斬らなかったそんなカグラギに、イロキは「裏切り者め…」と最大の賛辞を送りながら笑って消えていくのでした…。

 

 それにしてもグローディ、17年前に神の怒りを起こしてヒメノ様の両親を殺害し、トウフの米に毒を仕込んでイロキの死の原因を作り、現在においてはゴッカンの先代女王夫妻を殺害し(実行犯はカメジムですが)、ジェラミーの母であるネフィラを蘇らせてキングオージャーと戦わせる…と、ギラとヤンマを除く全員に対して彼らの大事な人を殺したり尊厳を損なうようなことをしたりして地雷を踏みまくってますね。しかも本人は別にキングオージャーを苦しめたいとかではなく、ただ死体が欲しくてやってるのに肝心の死体は手に入らずキングオージャーからのヘイトばかり貯まっていくって、なんなんだこいつ…。