BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

東宝特撮映画大全集

東宝特撮映画大全集

東宝特撮映画大全集

 発売されていたことは書店で見かけたので知っていたのですが、値段と本自体のかさばる大きさがネックになって買うのを躊躇していました。今回地元の図書館の新着図書の棚に並んでいたのを見て借りました。

 内容は、1954年の「ゴジラ」から2004年の「ゴジラ ファイナルウォーズ」まで、東宝が世に送り出してきた特撮映画の集大成。写真をふんだんに使いながら、主な概要と見どころ、出演者、登場する怪獣や超兵器、公開当時のポスターなどの宣材写真、撮影秘話、そして数々の特撮映画を手掛けてきた川北紘一監督による解説が、各作品について掲載されています。

 勘のいい人ならこれだけで気づくかもしれませんが、この本、デアゴスティーニから出版されていた「東宝特撮DVDコレクション」を一冊にまとめたものです。私もまだ持っていない作品のDVDを手元に置くために世話になりましたが、ビックリマン仮面ライダースナックと同じでDVDの方が目当てで、あまり雑誌の方は重視していなかったのですが。

 各作品について網羅的に取り上げているので、興味のある作品について知りたいのならばもっと詳しく取り上げた本が世の中には出回っているので、そちらを見た方がいいですね。「こんな作品もあったんだ」と、まだ知らない作品の存在を知るための足掛かりとしてはちょうどいいかもしれません。また、単に雑誌をまとめたかといえばさにあらず。諸般の事情で現在はお蔵入りとなっている「獣人雪男」や「ノストラダムスの大予言」も写真付きでバッチリ紹介されていますので、その心意気は評価したいですね(お蔵入りになった詳しい事情は安藤健二氏の「封印作品の謎」に詳しいです)。

 しかしこうしてまとめて見ると、怪獣映画だけでなく、変身人間シリーズのような怪奇作品や血を吸うシリーズのようなホラー、「日本沈没」のようなパニック映画など、東宝は実に多種多彩な特撮映画を送り出してきたということがよくわかります。この本が2004年の「ゴジラ ファイナルウォーズ」で終わっていることが示している通り、その流れが絶えて久しいのはつくづく残念なことです。実際にはそれ以降も「ローレライ」とかリメイク版「日本沈没」とかがあったわけですけど、どれも「特撮」という感じではありませんでしたし。