BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の宇宙戦隊キュウレンジャー 第48回(最終回)感想

 正真正銘、ドン・アルマゲとの最終決戦。恒例の素面名乗りはやっぱり燃えるし、第1話でのラッキーの初変身を再現したクライマックスの演出も素晴らしかった・・・のですが、等身大戦で負け、巨大戦で負け、等身大に戻ってなおラッキーの体を乗っ取ろうとする、ドン・アルマゲのラスボスにあるまじき往生際の悪さが、最後まで興ざめでした。倒しても倒した奴の体に憑依してしまうドン・アルマゲをどう倒すかという問題に関しても、予想通り特に筋の通った理屈もなくなんやかんやで勢いで倒してしまいましたし。

 さて、1年間見てきたキュウレンジャーですが、やっぱり粗の目立ちは最後まで否めませんでしたね。個人的には特に、ジャークマターに悪役としての魅力が決定的に欠けていたのがマイナスでしたね。首領であるドン・アルマゲ以下名のある幹部たちは「特撮の悪者」の典型以上の個性がなく、比較的キャラの立っていたマーダッコやスコルピオですら、前作ジュウオウジャーのデスガリアンの面々に比べれば、血の通ったキャラとしての魅力は及ぶべくもありませんでした。ごく少数のレジスタンスが全宇宙を支配する巨大な組織に立ち向かうとなれば、ストーリーにも綿密な戦略が求められましたが、行き当たりばったりな流れが目立ちました。特にラッキーの出生と父親にまつわるエピソードは、本来であるならば盛り上がるはずなのにとってつけたような感じばかり目立ってしまいました。

 というように、悪役とストーリー展開に難があったのは残念でしたが、振り返ってみれば最終的に12人という大所帯になったにも関わらず、キュウレンジャーの面々を誰一人として影の薄さを感じさせない個性の立った、まさに「一人一人がスーパースター」であったことは称賛に値すると思います。このあたりは同じ星座モチーフの12人のヒーローが登場する「超星神グランセイザー」が、明らかに数の多すぎるヒーローを持て余していたのと見比べれば一目瞭然でしょう。それぞれのメンバーごとの個性と、各回ごとに主役を担当するメンバー以外のメンバーにもしっかりと見せ場を与えてきた積み重ねがこの結果を生んだことは間違いありません。

 さてさて、かつてない大所帯となった戦隊の次は、これまたかつてない一年丸ごと「VS戦隊」。ルパンレンジャーVSパトレンジャーはどのような作品になるか、また一年間楽しみです。