BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

小説 仮面ライダー鎧武

 小説仮面ライダーシリーズ最新刊。発売当日に買って既に読み終わっていたのですが、感想を書かずにダラダラと過ごしていたら次の「仮面ライダードライブ マッハサーガ」の発売日が明日に迫ってしまったので、いよいよ書かなければとなりました。

 今回の小説の作者は鎧武TV本編でもサブライターとして参加していた砂阿久雁氏と鋼屋ジン氏、それにメインライターの虚淵玄氏が監修を担当という本気の布陣。加えて時系列としては映像化された鎧武の作品では最も新しい「仮面ライダーナックル」よりも後であり、TV本編や劇場版だけでなく、オリジナルビデオ作品として制作された鎧武外伝の内容も深く関わってくる内容となり、まさにこれまでに作られた鎧武のシリーズ作品の総括を行う作品となっております。

 ヘルヘイムと黄金の果実を巡る一連の戦いが終わり、海外に拡散したユグドラシル負の遺産を始末するために鳳蓮と協力してユグドラシル残党と戦う貴虎。一方沢芽市ではロックシードを悪用するストリートギャングが勢力を拡大しており、光実とザックが中心となって自警活動を行っていた。そして彼らがそれぞれに追う事件の背後には、かつて沢芽市で自爆テロ事件を起こしたカルト集団「黒の菩提樹」と、そのリーダーであり凌馬との戦いの末に敗れて死んだはずの男・狗道供物の姿があった・・・というのが大まかな内容。主役は呉島兄弟なので、雰囲気としてはMOVIE大戦フルスロットルに近いですね。特に、取り返しのつかない過ちを犯してしまったがゆえに苦悩を抱えながらも、今度こそ紘汰に代わって街を守る本物のヒーローになるために突き進む光実の姿が実に熱い。ニトロプラス脚本陣の手によるだけあってバトルシーンも充実しており、新アームズも次々に登場。中でも斬月ジンバーメロンアームズは是が非でも実写で見てみたいですね。クライマックスではまさかの「あいつ」が挫けかけた光実に立ち直るきっかけを与えるというサプライズも。予算その他を気にする必要のない、文章というホームグラウンドを舞台としてニトロプラス脚本陣がやりたいことをやりたいようにやった結果、素晴らしい作品となっております。これを読まずして鎧武を楽しみ尽くしたと思うなかれ。

 余談ですが、冒頭で貴虎が追っていた犯罪組織の名前や、貴虎に協力するロシアのベンチャー企業の社長、それに鳳蓮の傭兵時代の仲間の名前は、ニトロプラス脚本陣のちょっとしたお遊びになっていますので、どうかお見逃しのないように。