BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

キャプテン・マーベル 感想

 来月の「アベンジャーズ/エンドゲーム」を前に、新たなMCUのヒーローとして登場したキャプテン・マーベル。果たして彼女は「インフィニティ・ウォー」でかつてない苦境に立たされたアベンジャーズの救世主となるか、期待に胸を膨らませながら映画館に足を運びました。例のごとくネタバレを含みますので、未見の方はご注意を。

 

 舞台となるのは現在から時間をさかのぼり1995年。地球から遠く離れた宇宙では、高度な文明を持つクリー人と遺伝子レベルで他人に擬態することのできるスクラル人の戦争が続いていた。クリー人の特殊部隊「スターフォース」に所属する女性隊員ヴァースは過去の記憶を失っていたが、任務中に罠にはまりスクラル人の実験を受けたことで記憶の断片が蘇る。スクラル人の宇宙船から脱走して地球へ不時着した彼女は、そこで自らに備わった超人的な特殊能力、そして自分の失われた過去についての謎を探ることになるが・・・。

 

 物語の前半は記憶喪失の主人公が失われた自らの過去を探っていくという、「ジェイソン・ボーン」シリーズなどでおなじみのサスペンス調の物語ですが、次々と明らかになっていく真実と、その結果としてガラリと様変わりする主人公の周囲の状況は見ていてとてもワクワクしましたね。そんな中で、たとえ自分がどのような状況に置かれようとも決して屈せず何度でも立ち上がる不屈の女である主人公キャプテン・マーベルことキャロル。ワンダーウーマンがその気高さで周囲が畏敬を寄せずにはいられないヒーローならば、キャプテン・マーベルはどれだけ理不尽な状況に立たされようと鋼鉄のような反骨心で逆境を跳ね返し道を切り開くヒーロー。女性ヒーローが主役を演じるのはMCUでもこれが初めてですが、舞台は1995年ですがMe Tooの時代に現れるべくして現れたヒーローですね。吹き替えではこういう反骨心に溢れながらもサバサバした気持ちのいい性格の女性を他の作品でも演じてきた水樹奈々さんが声を演じているので、さらにその印象が引き立ちます。

 

 そして忘れてならないのは、今回は1995年当時のニック・フューリーが登場し、キャロルの相棒を務めること。当時はまだS.H.I.E.L.Dの中間管理職だった彼が、キャロルとの冒険を経て、いかにしてアベンジャーズ計画を構想するに至ったかが描かれるのも今回のポイント。これまでの作品ではひたすらクールな指揮官として振る舞ってきた彼ですが、今回の作品ではキャロルと頻繁に冗談を交わしたり、猫相手にデレデレの表情になって赤ちゃん言葉で話しかけたり、これが素なのかはわかりませんが今までに見たことのない彼の一面が見られます。まぁ、よくよく振り返ってみるとあんまり役に立ってはいないところはこれまでの作品とあんまり変わらないのですが。また、フューリーといえばアイパッチがトレードマークですが、このアイパッチをつけることになった経緯がついに明らかに!・・・なるにはなるんですが、ほんとにいいのか、あんな理由で。

 

 映画のラスト、ある使命を帯びて地球を離れていたキャプテン・マーベルですが、「インフィニティ・ウォー」のラストでフューリーが発したSOS信号を受けて地球へ帰還。キャップたちアベンジャーズの生存組にはとても心強い援軍ですが、どうやって絶望的な状況を覆すのか。量子世界に取り残されたアントマンはどうやって帰還するのか。気になることはたくさんありますが、あとひと月の辛抱です。