BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

ゴジラ S.P 第10話 感想

 視界不良になるほど紅塵が深く立ち込める東京で、ゴジラの監視を続ける自衛隊。そこへ黒い影のような巨大なラドンが飛来するが、ゴジラは口からリング状の熱線を吐いてそれを撃墜する。リング状の熱線は間違いなくミニラのオマージュですが、この段階でこれだけの威力を備えているのは、「この先」を考えると末恐ろしいですね。

 

 一方、事の発端であった葦原の洋館を再度調査するユンと侍。そこにあった本に記されていた数字が、以前銘に送った「解けばわかる」のMDハッシュと同じであることに気づくユン。さらに数字が記されていた本に書かれていたほかの数列も、そのほとんどがユンと銘のチャットでのやりとりをMDハッシュにより暗号化したものであることが判明。葦原は50年以上前にユンと銘のやり取りを予知し、それを当時はまだ存在しなかった技術によって暗号化して記録していた、という不可解なことになりますが、これは一体何を意味するのか。そして記録にはただ一つ、未来の日付のものが。それは現在から見て4日後の記録。4日後、ユンと銘が行うであろうチャットによって、記録されていた会話は全て出揃うことになる。その時何が起こるのか。これまでユンと銘が交わしてきた難解なやり取りがここへ来て伏線となるのにはゾワッとしましたが、これもまたこの先何が起こるのか全く予想ができない謎ですね。

 

 そして、再び開始される自衛隊によるゴジラへの攻撃。それを伝えるニュースをそれぞれが見守る中、流れ出す我々には聞きなれたメロディ。これまでは冒頭のメロディだけが同じで途中から別のメロディに切り替わっていましたが、今度は「ドシラ、ドシラ」から始まる、完全にオリジナルの通りの「ゴジラのテーマ」。それに呼応するように、爆炎の中から悠然と姿を現し咆哮する、ついに我々のよく知るあの姿となったゴジラ自衛隊の砲撃をものともせず、背びれを発光させ、口を大きく開き、ついにその代名詞、放射熱線を発射する。熱線は自衛隊の戦車を一瞬で溶かすばかりか、首を振り回すことによって射線上のビルを次々に貫通、溶断していく。シン・ゴジラ放射線流とよく似てはいますが差別化もされていて、ゴジラ作品にとってはその出来によって作品の価値が決まると言っても過言ではない、ゴジラが初めて熱線を吐くシーンとして、満足のいく出来栄えでした。ついにこの作品の世界にも「怪獣王」「破壊神」と呼ばれるあのゴジラが現れたのだ、という事実を問答無用で叩きつけてくる、見事な演出です。さて、この絶望の化身と呼ぶべき圧倒的な存在に対して、ユンと銘はどう立ち向かうのでしょうか。