BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーリバイス 最終回 感想

 ついにやってきた最終回。どうなるものかと思っていましたが、物語の締めくくりとしては納得のいく話でしたね。最終回で繰り広げられる最後の戦いが、まさか子供同士のじゃれ合いのようなものになるとは。しかし、バイスが一輝にとっての「実在するイマジナリーフレンド」のような存在であることを考えれば、それとの別れの儀式として「思いっきり遊ぶ」というのは至極当然のように思えましたね。ただ、一輝がバイスのことまで忘れれば、契約は完了となり失っていた家族の記憶も思い出すというこの契約、バイスにとって何のメリットがあったのかは最後までわかりませんでしたが。都合よくバイスを復活させることもなく、しかし、すき焼きを食べた時のリアクションから、バイスは一輝の中で生きているということを示すことで終わらせたのも、よい落としどころだったと思いました。にしても、第一話で示しただけの「一輝はキングカズのファン」という設定を、ここへ来て唐突に再び出してくるどころか、キングカズ本人を呼びますかね。確かにこの人が「夢に早いも遅いもない」と言ったら説得力がありすぎですけど。

 

 さて、シリーズ全体を通しての評価ですが、ゼロワンやセイバーと同様、リバイスも電王やWやエグゼイドのように、シリーズ全体を通して傑作とは呼び難いものでしたね。あえて言うなら、初速はよかったものの後になっていくにつれテーマ性もテンポも失われていったと言わざるを得ません。特に最初のデッドマンズを相手に戦っていた頃は、家庭に何らかの問題を抱えた人間が次々に怪人となって現れ、それを迎え撃つ一輝も一見家業に専念しているように見えても何か両親に対する蟠りを持っているように見えたり、バイスもストレートに「家族ってそんなに大事?」と疑問をぶつけてきたりと、明らかに家族という共同体に対する疑問を提示したものになっていて、これは高度経済成長期以降、現実における家庭崩壊がフィクションの世界にも流れ込んでいく中、家族神話の最期の聖域となった子供向け特撮ヒーロー番組にも、ついにその聖域にメスを入れる作品が現れたか、と期待したものです。しかし、デッドマンズの崩壊を待たずしてそうしたテーマ性は失われていき、五十嵐家は時々衝突を起こしながらも無難な仲良し一家として進み、悪魔らしい不穏な様子を見せていたバイスもどんどん愉快な相棒となっていき、ライダーの数ばかりがむやみに増えていく…と、「牙を抜かれた」と評すべき、焦点のぼやけた物語になっていきました。どうも私には、当初構想していた物語がなんらかの事情で頓挫して、立て直すこともできずそのままずるずると進んでいったようにしか思えないのですが、その辺の内部事情が明らかになるとすればこれからの話でしょう。ネットでよく「やろうとしていること、言わんとしていることはなんとなくはわかるけど、物語上でのそれらのつながりがはっきりとわかるかたちで見えていな」と言われていましたが、まさにそのとおりだと思います。仮面ライダーが現代ではほとんど類を見ない、一年間放送されるドラマであり、それを作っていくことが並々ならぬ困難を伴うことであることは承知しているつもりですが、令和ライダーになってから3作続けてこうした作品が続くと、最近明らかになってきた東映の製作体制の問題も併せて、一度シリーズの存続を含めて大きな見直しが求められているのではないか、とも思います。