BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の仮面ライダーウィザード

 グレムリンによって賢者の石を奪われたコヨミは、自らの死を受け入れながらも、唯一の心残りとして賢者の石を取り戻すことを晴人に託し消えていった。コヨミの最後の希望としての責務を果たすべく、晴人はグレムリンに立ち向かう。

 賢者の石を取り込みパワーアップしたグレムリンは、人間になるための魔力を集めるべく手当たり次第に人間を襲い始める。結局、彼がここまで人間に戻ることを切望していた理由は最後までわかりませんでしたね。もともと怪物のような心の持ち主だった彼でも、本当に怪物になってしまったことは心底嫌だったということでしょうか。

 街にあふれるグールたちから市民を守るため、精一杯の抵抗をする仁藤たち。彼らのピンチに現れたのは、それぞれに迷いを抱えながらもそれが自分たちが今なすべきことだと信じる3人のメイジ。ただの量産ライダーでは終わらず最後まで見せ場を用意してくれたのはよかったですね。

 そして、ついに現れたグレムリンの前に、最後に現れたのが・・・晴人。第一話を彷彿とさせる登場の仕方がかっこいいです。ウィザードとグレムリンの全力の激突。グレムリンの力の前にピンチに陥るウィザードだったが、コヨミを安らかに眠らせるために賢者の石は誰にも渡さない、という強い意志とともに渾身のパンチをグレムリンに叩き込み、その体内から賢者の石を引きずり出す! ここでウィザードが今まで繰り出したことのなかった「パンチ」を初めて使うという展開に思わず声を上げてしまいました。そして、指輪へと姿を変えた賢者の石の力でウィザードが放ったのが、これまたほとんど使ったことのないライダーキック! ライダーパンチとライダーキックで最後の敵に止めを刺すという流れは、実に燃えました。

 こうして戦いは終わり、静かに眠らせてほしいというコヨミの最後の願いをかなえるため、指輪を誰も知らない場所にもっていくことを仁藤たちに告げる晴人。「指輪を捨てに行く」というのが「指輪物語」のようですね。仁藤たちもそれぞれ新たな道へ。仁藤は譲とともにキマイラを捕まえる旅へ。さすがにマヨラーの道にまで譲を引き込むのは感心しませんが(笑)。凜子は引き続き0課に残り、生き残りのファントムがいないか捜査を継続、真由も晴人の代わりに協力することに。木崎はすっかりお茶を吹くのが芸になってしまいましたね。瞬平はいつか帰ってくる晴人のために、輪島さんに弟子入りして指輪作りを学ぶことに・・・って、そういうのはもっと早く始めてほしかったんですが。

 そして旅立ちの前に、グレムリンに破壊されたドーナツ屋の再建を目指して頑張る店長たちのところにやってきた晴人。ここで初めて(コヨミの分という名目ではありますが)新作ドーナツを買ってくれるというのが心憎いですね。そして晴人は一人、バイクに乗って指輪を眠らせる旅に旅立つのでした・・・。

 というわけで、実質上の最終回でした。無難、といってしまえばそれまでですが、Wやフォーゼのように最終回でコヨミが復活するような流れではなく、彼女の意志を汲んで安らかに眠らせるために旅に出る、という切なくも美しさのある最終回でした。シリーズが始まってすぐから感じてはいましたが、ウィザードは「魔法使い」という言葉をそのまま「仮面ライダー」という言葉に変換しても全く違和感がないほど、歴代の平成ライダーの中でも非常に仮面ライダーの原点に近い作品だったと思います。晴人が一人バイクで走り去っていくラストシーンも、第一作「仮面ライダー」のエンディング「ロンリー仮面ライダー」の歌詞がそのまま重なって見えました。

 Wやオーズ、フォーゼと比べるとユニークさには欠けるものの、「仮面ライダーらしい仮面ライダー」である。そう評価して間違いのない良作だったと思います。

 さて、一応ウィザードの物語はここで終わりですが、残る2話はスペシャルエピソード。あの「世界の破壊者」が、ウィザードの前に現れる・・・。