BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の仮面ライダービルド 最終回感想

 エボルトを抱えて光の裂け目へと飛び立った龍我。彼を追って飛び立った戦兎は彼を見つけるが、それはエボルトの擬態であり、龍我は既にエボルトの中に取り込まれてしまっていた。新世界を創るためにエボルトを倒そうとするビルド。エボルトリガーを復活させるためにビルドの力を吸収しようとするエボルト。その最終決戦の幕が上がる!

 ・・・というわけで、やってきました、最終回。のっけからビルドとエボルトの最後の決戦が描かれましたが、納得の激戦でしたね。戦兎をピンチに追い込み、またもや「お前は俺に創られた偽りのヒーローだ」と耳にタコができるほど聞いた言葉をぶつけるエボルトでしたが、もはやそれは戦兎にとっては呪いの言葉ではなく、仲間たちが桐生戦兎という男を、仮面ライダービルドというヒーローを創ってくれたんだ、というかたちでヒーローとしての誇りへと昇華したのは、すっきりとくる言葉でしたね。そして、ラビットドラゴンへと変身したビルドの必殺技により、ついに悲鳴とともに滅び去るエボルト。自ら生み出したヒーローに滅ぼされるというのは、奇しくもあのショッカーと同じ皮肉な最期でした。思えば、エボルトは確かに強大な力を持つ恐るべき敵でしたが、その野望を達成するために必要なエボルドライバーやエボルトリガーを用意するために科学という人間の力を利用しようとした時点で、その科学の力によって逆襲され滅びるのは宿命だったのかもしれません。

 そして、エボルトを倒し意識を取り戻した戦兎の前に広がっていたのは、スカイウォールのない世界。そこでは一海や幻徳といったあの戦いで命を落とした者たちも生きており、あたかもエボルトが引き起こした全ての出来事が起こらなかった世界といった様相を呈していた。その平和な光景に満足しつつも、ただ一人の異邦人となってしまい、孤独を感じる戦兎でしたが、その時彼の名を呼ぶ聞き慣れた声が・・・。あまりにも丸く収まりすぎかな、と思わなくもありませんが、これまで戦兎が戦ってきたあまりにも苦しく犠牲の多い戦いを振り返ってみれば、それを終えた彼にはこのぐらいの結末は与えられて然るべきなのでしょうね。そして、これまで各話の冒頭で繰り広げられてきたあらすじ紹介は、実は戦兎と龍我がこれまでの戦いを振り返りながら語っていたものだった、というのは、ここまでビルドの物語を見届けてきた視聴者にはうれしい気の利いた最後のプレゼントでした。道理で妙に緊張感に欠ける上にメタな話がバンバン飛び出したわけだ(笑)。

 こうして、今年も一年仮面ライダーの物語を最初から最後まで見届けることができました。振り返ってみれば、ここまで過酷で犠牲の多い戦いを繰り広げたライダーは、他にはいないんじゃないでしょうか。戦兎の正体が葛城巧だったり、マスターの正体がエボルトだったことが判明した時は戦兎たちと一緒にこっちも驚愕するしかありませんでしたし、戦兎たちがどれだけ足掻こうともエボルトの掌の上で転がされるように事態がどんどん深刻になっていくのには、こちらも胃が痛くなる思いでした。あまりにも展開がエボルトのワンサイドゲームでフラストレーションが溜まったり、何度も「お前は俺に創られた偽りのヒーローだ」とエボルトに言われてはいちいちショックを受ける戦兎に辟易したりと、終盤にかけてはうんざりしたところもありましたが、前年のエグゼイドに続き、展開から目が離せないドラマを見させてもらいました。出演者、スタッフの皆さまには、心よりお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

 さて、来週からはいよいよ最後の平成ライダーの物語が始まります。ディケイドの時のようになりませんようにと一抹の不安を抱えながらも、平成ライダーの最終作としてふさわしい作品となることを期待しております。