BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の仮面ライダージオウ 第34話感想

 響鬼編、後編。今回見ていてどうしても気になったのは、やっぱりヒビキさんはどうなったのか?ということですね。思えば前回の時点で、鬼の不始末は鬼がつけるというのならアナザー響鬼の相手は桐矢の師匠であるヒビキさんがするのが筋であるのにやってきたのはトドロキだったり、今までは直接ライダー本人に接触してきたタイムジャッカーが今回に限ってはアナザー響鬼を餌に響鬼をおびき寄せる作戦をとるしかなかったり、いろいろ怪しいところはありました。第一、ヒビキさんの人となりを考えるなら、弟子である桐矢が響鬼を襲名できないままの宙ぶらりんの状態にあるにもかかわらず放っておくわけがありません。響鬼を襲名できるようになるまで、あるいはすっぱりと諦めるまで、桐矢がどう決断するにせよその意思を尊重したうえでつかず離れず最後まで見守っているはずです。にもかわらず、今回ヒビキさんの名は出てきても桐矢のそばに彼がいる気配が全くないということは・・・あまり考えたくないですが、そういう可能性も考えなければなりませんね。ザンキさんの例を挙げるまでもなく、鬼の仕事が極めて危険なものであることは、当時響鬼を見ていた人なら周知の事実ですから。

 

 そうしたことを踏まえたうえで、桐矢が改めて足を踏みだし、そして響鬼となるまでを描いた今回の話。ツトムを弟子に取ったとき、ヒビキさんに追いつけず悩んでいた、というのは、初登場の頃やたらと明日夢に競争を挑んでいた彼らしい。あえて個人的な見解を述べるなら、いかに憧れようとも彼とヒビキさんとでは根本的な人間性が違いすぎるので、彼がヒビキさんのような鬼になることはできないでしょう。ですが、それはあまり問題ではありません。かつてのトドロキさんもまた師匠のザンキさんに憧れる弟子でしたが、いまや立派な鬼となった彼もまた、ザンキさんとは全く違う鬼なのです。重要なのはかつてのヒビキさんが桐矢の憧れであったように、桐矢もまたツトムの憧れであり続けることだと思います。「少年よ」の歌詞に「誰でもない自分の生き方で」とあるように、彼も自分なりに弟子の範となれる鬼となってほしいものです。

 

 物語の中心は桐矢でしたが、彼だけでなくトドロキさんも一歩前に進む姿が描かれたのもよかったですね。既にかつてザンキさんが自分を弟子にとった歳をとうに過ぎながら、いまだに彼が弟子をとらずに一人で活動しているのが不思議でしたが、かつて師匠が自分に向けてくれた限りない恩を知るがゆえに、同じように弟子を愛する覚悟がもてずにいたというのは、彼の過去と人となりを考えれば非常に納得がいきました。そんな彼も、弟子とともに改めて前へと進む覚悟を決めた桐矢の姿を見て、ようやく自らも弟子をとる気になりました。彼ならば間違いなく、ザンキさんと同じかそれ以上に立派な師匠になれるでしょう。そしてそのことについて「日菜佳さんに相談するか」と呟くトドロキさん。演じていた神戸みゆきさんが既に鬼籍に入られていても、響鬼の物語の中では彼女は今でも生きていて、あの頃と同じようにトドロキさんと仲良くやっている。このさりげないセリフだけで、どれだけの響鬼ファンが安堵し、そして涙をにじませたことか。お見事でした。