BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

今週の仮面ライダージオウ 第35話感想

 先週までの響鬼編に続き、今週からはキバ編がスタート。ペンをとるのは仮面ライダーキバ本編でもメインライターを務めていた井上敏樹氏。とくれば、だいたいどんな感じになるかはおおよそ予期はしていましたが、蓋を開けてみればさすがと言いたくなるぐらい、井上氏の脚本あるあるをふんだんに盛り込みながらもさらに予想の斜め上を行くものでした。

 

 まぁまずもって、降ってわいたように初恋の人の話を始めるソウゴからして、「ほらほら、始まったぞ」という感じでした。井上氏がメインライターを務めていない作品で単発の話を書く場合、必ずと言っていいほど登場人物たちがいつもの彼らとは思えないような言動をし始めるのは、平成1期からライダーを見ていた人達には周知の事実。ソウゴばかりでなくゲイツまで「お前の話があてになるのかニャ?」などとおちゃらけたことを言い出すので、こっちの腹筋がもちません。考えてみれば井上氏はキバ以来平成ライダーに関わっていないわけですから、ディケイド以降からライダーを見始めた人たちは今回のソウゴたちを見てどう思ったのでしょうか?

 

 また、アナザーキバに変身する祐子も、これまたいかにも井上氏が好んで書きそうな、扱いの難しそうな女。冤罪で刑務所に収監されていたというところからして、基本的に一般人寄りの人達が多かったこれまでのアナザーライダーの変身者たちとは一線を画します。そしてそんな彼女をアナザーキバにしたオーラも、彼女に反抗されて顔を傷つけられたことでブチギレて内紛を始めることに。こういう気の強い女同士のいざこざも、いかにも井上氏が好きそうですね。

 

 そして、これだけでも井上成分でおなかいっぱいだというのに、トドメとばかりにそれまでの流れとは何の脈絡もなく投入される仮面ライダーギンガ。もうここまでくるとわけがわかりません。戦闘シーンもこれまで無敵を誇ったジオウトリニティが手も足も出ないという危機的な状況のはずなのに、完全にノリがギャグで緊迫感のかけらもありません。こんなにしっちゃかめっちゃかに風呂敷を広げてどう畳むつもりなのか、さっぱり予想が付きませんが、井上氏のことだから見事に畳んでくれるか、さもなくば畳んだふりをしてごまかして終わらすかのどっちかなんでしょうね。