BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダー 令和 ザ・ファースト・ジェネレーション

 今年もやってきました、新旧ライダー夢の共演の劇場版。とんでもないサプライズの合った平ジェネからもう一年が経ったとは、早いものですね。例によってネタバレを含みますので、未見の方はご注意を。

 

 ある朝或人が目覚めて出勤すると、世界はヒューマギアが人類を支配するものになっていた。一方、普通の高校生として暮らしていたソウゴたちのもとにも異変の影響が及び、元の記憶を取り戻す。ウォズからまたもタイムジャッカーにより歴史が改変されたことを聞かされたソウゴたちは、或人とともに歴史の改変されたポイントである12年前のデイブレイクの日へと飛ぶが…。

 

 タイムジャッカーの企みによって歴史が改変され、ヒューマギアが支配するようになった世界を元に戻すためにゼロワンとジオウが共闘するという、この2作品が共演するとなれば順当な流れのお話。平ジェネで戦兎がソウゴを導いたように、今回はソウゴが或人を先輩の風格たっぷりに導きますが、ジオウはちょっと本気を出せば容易に共演相手の物語を食ってしまうので、今回はジオウの要素は必要最低限の舞台のお膳立て程度にとどまり、あくまでゼロワンの物語を主体として展開されるのが特徴的ですね。その中で最も重要な役割を果たすのは、何といっても或人の「父」である飛電其雄。彼がなぜ或人に父と呼ばれているのか、彼がデイブレイクに関してどう関わっているのか、本編を語るうえでも重要な事実が明らかになりますが、仮面ライダー1型に変身して巨大な壁として或人の前に立ちはだかる彼を或人がどう超えていくのか、そこが非常に重要なポイントとして描かれています。強く、厳しく、そして優しい其雄は、まさに偉大な父親そのもの。ある意味ではそれは昭和、そして平成と積み重ねられてきた仮面ライダーの歴史の象徴(1型が明らかに1号をモデルとした名前とデザインなのもおそらくそこを意識しているはず)であり、これを乗り越えてこそゼロワンは新しい時代のライダーとして未来を切り開いていける。本編以上に熱く、硬い決意とともにその戦いへと挑んでいく或人の姿に、これから先の仮面ライダーを描いていく作り手たちの決意を垣間見ることのできる映画でした。