BLACK DODO DOWN

HN:影月。「怪」のつくものを好み、特撮・ゲームを中心に、よしなしごとをそこはかとなく書き付くる。

仮面ライダーゼロワン 第10話感想

 病院襲撃事件でのイメージ低下を払しょくするため、飛電インテリジェンスが打ち出した、俳優型ヒューマギアを主演に起用したドラマプロジェクト。共演者にベテラン俳優の大和田伸也を起用し、エイムズの警備のもと撮影が開始されるが…。

 

 大和田伸也を本人役で起用するというまさかのキャスティング。大物俳優とはいえなんでそんなことを…と思いましたが、ヒューマギアの俳優の演技に人間らしい「厚み」を感じられず不満を口にする大物俳優という役に説得力を持たせるためには、確かにこのぐらいのことは必要ですね。加えて、単に厚み云々というフワッとした言葉では伝わりにくい役者としての力量を、アドリブがこなせるかどうかというよりわかりやすいポイントで見せるやり方も、相変わらずそつがありません。大和田さんがエンジよりも暗殺ちゃんの芝居を認めたのは、彼の言う芝居の厚み=人間性の発露を暗殺ちゃんの芝居に感じたということに他なりません。ここで思い出したのは、原作漫画版人造人間キカイダーのラストで、服従回路を取りつけられたジロー(キカイダー)が、もともと備わっていた良心回路(善の心)と服従回路(悪の心)を併せ持ったことで初めて人間の心を持った(それによってジローは悪の手先となった兄弟たちを自ら破壊した)ことでした。ヒューマギアのシンギュラリティが「人間と同じ心を持つこと」ならば、それは善のみならず悪の心をも持たねばなし得ないことですが、暗殺ちゃんは意外とそこに近づいているのでしょうか。

 

 そして、唯阿にプログライズキーを提供し指示を出していた謎の男も、ついにその素顔を披露。今のところはっきりわかっているのは「天津垓」という名前だけですが、どうやらZAIAエンタープライズという企業の社長か何かで、おそらくはライバル企業である飛電エンタープライズの追い落としを画策している、といったところでしょうか。彼から指示を受けているということは、唯阿も本来の所属はZAIAで、そこからエイムズに技術顧問として出向している、という立場なのではないでしょうか。これまではヒューマギアを通して人工知能のもたらす未来について考えさせるストーリー展開でしたが、ここにライバル企業の登場という企業ドラマとしての展開が加わるとなれば、さらに面白いことになっていきそうですね。